Jリートの平均分配金利回りが4.6%まで上昇
国内債券の代わりとして少し投資してみたいと、考えている投資対象がJリート(J-REIT:国内の不動産投資信託)です。日経平均が急騰している間、じりじりと下落してきた結果、Jリートの平均分配金利回りが約4.4%まで上昇しているからです。
一時、約4.7%まで上昇していましたが、先週、Jリートにようやく見直し買いが入って反発したため、利回りは少し低下して3月22日時点で約4.4%です。
東証REIT指数と日経平均比較:2019年末~2024年3月22日
ただし、Jリートは決して債券ではありません。東京証券取引所で株と同じように売買される株の一種です。2020年のコロナショックの時は、一時日経平均を上回る下落となりました。ただし、一般の株と比べると、利回りが高く、債券的価値が高い株と言えます。その特色を理解した上で、国内債券の代わりに少し投資してみていいと思います。
私は、Jリートの平均利回りはおおむね4%が妥当と判断しています。Jリートの価格上昇が続き平均利回りが3.4%まで低下した時、Jリートは「割高」と判断します。コロナショック直前が、そうでした。
逆に、価格低下が続いて平均利回りが4%を超えていくと「割安圏」と判断します。コロナショック直後は、国内金融機関と見られる強引な売りで暴落し、一時平均利回りが6.8%まで上昇しました。極めて割安と判断できましたが、今振り返ると、流動性が低い中でパニック売りによってついた異常値でした。
2021年には、Jリートが買い直されて、利回りが一時3.3%まで低下しました。この時はまた「割高」と判断しました。
その後、Jリートは、日本の長期金利の上昇を嫌気して、じりじりと売られてきました。今、利回りが4.4%まで上昇しています。改めてJリートが「割安」になったと判断しています。
コロナショックでJリートが日経平均よりも大きく下落
Jリートに分散投資する際に、一つ知っておかなければならない「不都合な真実」があります。コロナショックやリーマンショック時に、Jリートに投資していても、リスク分散効果がなかったという事実です。コロナショックが起こった時、東証REIT指数は一時、日経平均よりも大幅な急落となりました。
利回り商品であるはずのリートがなぜ、こんなに大きく下がってしまったのでしょう。コロナ禍では確かにホテルリートや流通リートが大きなダメージを受けました。ただし、Jリートの大半を占めるオフィスリートが受けたダメージは相対的に軽微でした。
住宅リートはほとんどダメージが無かったし、物流リートはコロナ禍による無店舗販売拡大で、業績がますます好調に推移しました。
つまり、コロナ禍でJリート全体が受けたダメージは、日本株全体が受けたダメージよりも軽微だったのです。にもかかわらず、東証REIT指数の方が、下げが一時的に大きかったのはなぜでしょう。
コロナショックが起こると同時に、Jリートを一斉に売ったのは、主に国内の金融機関でした。金融危機が起こりそうになると、金融機関はリスク資産を減らして流動性を確保しようとします。
ただし、流動性の低い不動産を急に売ることはできません。そこで、売ろうと思えば売ることができるJリートを、不動産を売る代わりに一斉に売ってきたと考えられます。結果として、Jリートは株以上に下落し、債券代替としての役割をまったく果たしませんでした。
東証REIT指数は、2008年のリーマンショックでも、一時、日経平均よりも大きく下げました。これまでの歴史を見ると、日本株とJリートに分散投資しても、ショック時には分散投資効果が得られていません。