プラチナはあの呪縛から解き放たれた

 長期視点の価格動向については、急騰せず「ゆっくり」上昇し続ける可能性があると、筆者は考えています。長期視点でプラチナの「長期低迷銘柄」としての魅力が持続することを念頭においています。

 以下はフォルクスワーゲン問題が発覚した際に、非難の的となった自動車排ガス浄化装置向け需要の推移です。確かに同問題発覚後、欧州での同重要は減少しましたが。その規模はプラチナの需要を急減させるものではありませんでした。

 また、コロナショックにより一時的に減少幅は拡大したものの、現在は北米、中国、インドなどでの増加が目立ち、2023年は問題が発覚した2015年を上回りました。2024年はさらに増加することが見込まれています。プラチナはすでに、フォルクスワーゲン問題の呪縛から解き放たれたといえます。

 増加の背景については、世界各国で自動車などの排ガス規制が年々強化されていることにより、自動車一台あたりに使われる排ガス浄化装置向けの需要が増えたこと(浄化装置の機能向上を目的とした需要増加)や、ハイブリッド車への回帰が起きていること、プラチナの価格が排ガス浄化装置向けで一部競合するパラジウムよりも安いことなどが考えられます。

図:プラチナの自動車排ガス浄化装置向け需要の推移 単位:千オンス

出所:World Platinum Investment Councilのデータをもとに筆者作成