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今日の一言

勝つことがすべてではなく、勝ちたいと思うことこそがすべてなのだ

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 BLS(米労働省労働統計局)が3月8日に発表した雇用統計では、2月の失業率は3.9%と予想より弱かったものの、NFP(非農業部門雇用者)の増加数は、政府関係とヘルスケアの雇用が強く、27.5万人と予想(19.0万人)を上回った。その一方で、12月と1月の雇用増加数は合計で16.7万人と大きく下方修正された。

 コロナ禍が過ぎた後に多くの米経済データに現れているのが、冬と夏の季節変動の振幅の減少、いわゆる季節性の喪失だ。BLSの計測モデルは、この新しい傾向に追いついていないことが改定値の大幅修正の原因と言われている。速報値が翌月以降に下方修正されるパターンは今後も続く可能性がある。しかし下方修正後でも、非農業部門雇用者数は4カ月間では約100万人もの仕事が増えていることを考えると、雇用市場は決して弱いわけではない。

 平均時給は2月に前月比0.1%上昇、前年比4.3%上昇で、いずれも予想を下回った。上昇率はFRBのインフレ目標2%とはかけ離れたままで、インフレ期待が錨をおろしたとは言えない。とはいえ、平均時給の鈍化は、労働市場がインフレ圧力を再燃させているとの懸念をやや後退させることになった。

 今回の雇用統計には、いくつかの重要なポイントがある。まず、堅調な就業者の増加数は米経済の粘り強さの証明であり、FOMCが「利下げを待つリスク」が小さいことを示している。次に、失業率の上昇や、平均時給の上昇が予想よりも低かったことは、米経済の過熱がおさまる方向に向かっていることを示唆している。

 FRBが重視する指標のひとつに雇用コスト指数(ECI)がある。これは、企業が従業員に支払う雇用関係の費用であり、賃金・給与が約7割を占めている。最新の米国の雇用コスト指数(ECI)によると、前年同期比が過去2年間で最小の伸びとなっており、賃金インフレが緩やかになる兆しを示している。2月平均時給の低下は、この傾向が2024年も続いているということになる。

 パウエルFRB議長は、インフレが目標値に向かって下落するという確信を得ることができれば利下げをするとの考えを示した。利下げの時期は確定していないが、「今年前半の利下げ」の可能性は依然として高いといえる。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成