リオ五輪金メダリスト高橋礼華さんとESGアナリスト瀧澤信さんスペシャル対談

 このほど発売された『楽天証券で新NISA・iDeCoを始めよう! 2024年春号』から、バドミントン女子ダブルス元日本代表の高橋礼華さんと複眼経済塾取締役事務局長ESGアナリストの瀧澤信さんの対談を抜粋して、ご紹介します。

 世界の頂点に立ったアスリートとマルチに活躍する投資の達人による特別対談。リオ五輪の金メダル獲得秘話のほか、初心者が投資に臨む際の心構えなど話題満載です。

 2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックで、日本のバドミントン史上初となる金メダル獲得という快挙を成し遂げた高橋礼華さん。2020年に現役を引退し、バドミントンに明け暮れた人生のファーストステージを金メダリストとして華々しく終えました。

 高橋さんは現在、子育てや後進の育成、現役時代からの夢であったネイルサロンの開業を目指してセカンドステージを歩んでいます。

 瀧澤信さんは、投資・ビジネスの専門塾「複眼経済塾」で講師を務めるESGアナリスト。執筆や講演など多方面で情報発信している投資の達人です。今回は特別に、アスリートと投資家という異色の対談をお届けします。

 投資未経験の高橋さんと投資家の瀧澤さんのお二人に、人生のセカンドステージで役立つ投資の秘訣(ひけつ)や、投資にも応用できるアスリートのメンタルコントロール術などをお話しいただきました。

瀧澤 本誌は初心者向けの投資がテーマなのですが、まずは高橋さんの金メダル獲得に至るまでの経歴をうかがいたいと思います。高橋さんがバドミントンを始めたのはいつごろですか?

高橋 小学校1年生のときです。最初は遊び程度にやっていたんですが、だんだんと火がついて、小2のときに県大会に出て、小4のときには初めて出場した全国大会のシングルスで優勝しました。子どものころから負けず嫌いで、負けたときは猛烈に練習したのを覚えています。

 中学生からは、地元の奈良県橿原市を離れ、宮城県仙台市にある中高一貫のバドミントンの強豪校に入学しました。初めての寮生活だし、本当に練習が厳しくて慣れるまで大変でした。

 1学年後輩の松友(美佐紀)選手とダブルスのペアを組んだのは高校2年の秋です。高校を卒業してからは、二人とも同じ実業団のチームに所属し、世界ランキングで1位になりました。

 2012年、ロンドン五輪で日本代表の先輩だった藤井(瑞希)さんと垣岩(令佳)さんのペアが銀メダルを獲った試合を見て、「次は私たちがメダルだ!」という目標ができたんです。そのときから、4年後のリオ五輪での金メダルを目指して死ぬ気で頑張ろうと決意しました。

リオ五輪出場へ、そして念願の金メダル

瀧澤 日本代表に選出され、いよいよリオ五輪に出場するわけですが、金メダル獲得まで順調に勝ち進んでいったのでしょうか?

高橋 予選リーグの1回戦が一番緊張しました。前日は眠れなかったほどで……。それでも予選リーグは全勝で1位通過できたんです。決勝トーナメントでは緊張はありませんでしたね。

 ただ、準々決勝はメダル獲得の可能性がかかっているので、二人ともメダルを意識したせいか、あせりを感じ、ファイナルゲームまでもつれてしまったんです。幸いインターバルのとき、お互いに気持ちを切り替えられたから、最終的には勝てたんだと思います。

瀧澤 高橋さんのようなトップアスリートは、どのように気持ちを切り替えているのでしょうか?

高橋 自分たちのプレーができれば負けない自信がありましたし、それだけの練習を積み重ねてきました。メダルを意識せず、自分たちのプレーを出そう、人の何倍も練習して、いろいろなものを犠牲にしながら頑張ってきたんだから「絶対にできる」と思ったんです。

 そのように気持ちを切り替えられたおかげで、あせりや萎縮がなくなり、準々決勝や準決勝で勝つことができました。

瀧澤 そしてデンマークのペアとの決勝戦ですが、ファイナルゲームで16―19の3ポイント差から(注:バドミントンでは21点先取したほうがゲームの勝者)、5連続で得点をあげて奇跡的な大逆転を果たしました。リードされて窮地に立ったとき、どんな心境でしたか?

高橋 ゾーンに入った感覚というか、あせりはなかったですね。リードした相手のほうがあせっているのが表情で分かったので、相手のミスを誘うように狙いながら、冷静にプレーできたのが大逆転につながったんだと思います。