米ハイテク株高値への警戒じわりと広がる、バブル越えの日本株も足踏み?

 日経平均株価(225種)がバブル経済期の高値を超え、史上最高値を更新しました。年初からこれだけの短期間でバブル超えとなったのは驚きであると同時に感慨深いものがあります。上げ足のスピードが速いことから高値警戒感もありますが、今のところは底堅い動きをしています。

 メディアは、企業業績が伴った株上昇のためバブル時と環境が違うと報道していますが、企業業績だけでなく、日本銀行によるジャブジャブの金融緩和が株価を押し上げたのも間違いないと思われます。その金融緩和については、日銀の植田和男総裁や内田真一副総裁の「マイナス金利解除後も緩和的な金融環境が続く」との説明が投資家の安心材料になっているようです。

 日本株の上昇が米国株の上昇に引っ張られたのも要因のひとつといわれています。日本がバブルでなくても、米国株はエヌビディアの株上昇が象徴するようにAI(人工知能)バブルの様相を呈している可能性があり、米国株も連日史上最高値を更新しています。従って米国株の一段高がなければ、日本株も足踏みするかもしれません。

 米国株は連日史上最高値を更新していますが、エヌビディアがけん引した米ハイテク株の上昇も一服感が出てきており、日経平均の4万円超えも時間がかかるかもしれません。また、米国株に対しても警戒する見方が出始めているのは気になるところです。

 米著名株式投資家のウォーレン・バフェット氏は、24日公開の「株主への手紙」で、大型テック株主導で急騰する株式相場を念頭に、「市場は私が若いころとは比べ物にならないほどカジノ的な振る舞いをみせている」と警鐘を鳴らしました。そして同氏は、「目を見張るような業績」を達成できるような有意義な案件がないと指摘し、同氏が率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの手元現金水準が過去最高を更新しました。

 また、ゴールドマン・サックスが722のヘッジファンドを対象にした分析によると、ヘッジファンドは2023年10-12月期に「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる大型ハイテク7銘柄(アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラ)の大部分を売り越したと指摘しています。

 そしてマイクロソフト、アップル、エヌビディアについては、ヘッジファンドの人気低下が目立つIT銘柄だとしています。また、同社のプライムブローカー部門がまとめたデータによると、エヌビディアの決算発表までの数週間にハイテク株に投資してきたヘッジファンドが、ここにきて過去7カ月で最も早いペースで売却に動いていると述べています。

 これら一連の報道は、米国株が史上最高値を更新している中で流れていることから、高値更新でも上昇銘柄の中身が変わっている可能性があることに留意する必要がありそうです。しかし、今後利益確定の売却や高値への警戒心の高まりなどこれらの動きが多くの投資家にも波及してくるのであれば、米株の推進力は減退してくることが予想されます。