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著者の愛宕伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
春闘の賃上げ率4%が日銀の背中を押すか~ポイントはベースアップ~

 日本銀行の内田真一副総裁が2月8日の講演で「重要なイベント」と指摘した、春季労使交渉(春闘)。今年は3月13日に集中回答日を迎え、15日に連合がその第1回回答集計結果を発表します。さて、マイナス金利解除を模索する日銀の背中を押す結果になるかどうか。今週は春闘における賃上げ率の見方を整理します。

春闘の賃上げ率は、いつ、だれが発表するの?

 連合では毎年7回集計を行っており、7回目を最終結果として7月上旬に発表しています。1回目から回を重ねるごとに下方修正されるのが例年のパターンですが、修正幅自体はそれほど大きくなく、事実上、1回目の集計結果で大勢が判明します(図表1)。

<図表1 春闘の第1回回答結果と最終結果の賃上げ率>

(出所)厚生労働省、連合、楽天証券経済研究所作成

 昨年(2023年)の春闘では、3月17日に発表された第1回回答集計の賃上げ率が、定期昇給(定昇)込みで3.8%でした。その後徐々に下方修正され、7月5日に発表された第7回(最終)回答集計結果では3.58%と、第1回から0.22%ポイント下振れて着地しました。

 ちなみに、厚生労働省が公表している「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」の2023年の賃上げ率は3.6%であり、連合の最終結果とほぼ一致しています。このように、過去においても厚生労働省と連合の結果がさほどかい離していないことが、図表1から確認できます。