「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第16回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

読者からの質問:「成長投資枠」の使い方が分からない

 今日は、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の「成長投資枠」の使い方のクイズです。読者の皆さまから成長投資枠の使い方について、次のような質問をいただいているからです。

・Aさん:成長投資枠の使い方が分かりません
・Bさん:NISAのつみたて投資枠と成長投資枠でそれぞれ同じ投資信託を買うメリットはありますか?
・Cさん:成長投資枠で積み立て投資はできますか?

 クイズを解きながら、成長投資枠を正しく理解できているか確認してみてください。

新NISAクイズ6問

 今年スタートした新NISAについて、二つの説明文【A】と【B】のうち、正しい方を選んでください。

第1問: 新NISA対象者について

【A】 18歳以上の国内居住者ならば、誰でも新NISA口座を開くことができます。
【B】 国内居住者ならば、誰でも新NISA口座を開くことができます。

第2問: 新NISA口座で1年間に非課税で投資できる金額

【A】 年間、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合わせて360万円の非課税投資枠が付与されます。
【B】 年間、つみたて投資枠12万円、成長投資枠24万円、合わせて36万円の非課税投資枠が付与されます。

第3問: 非課税となる期間はいつまで?

 新NISAで投資した金融商品から得られる、金利・配当・売買益は全て非課税です。

【A】 非課税となる期間は、1年です。
【B】 非課税となる期間は、無期限です。

第4問: つみたて投資枠の投資対象商品はどれ?

【A】 長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たした投資信託に限定)。
【B】 何にでも自由に投資できる。

第5問: 成長投資枠の投資対象はどれ?

【A】 上場株式・投資信託など(ただし、整理・監理銘柄は除く。また、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託とデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などを除外)。
【B】 成長株に投資しなければならない。

第6問: 成長投資枠で、つみたて投資枠の投資対象商品に積み立て投資できるか?

【A】 できる。
【B】 できない。

株式投資のリスクに投資タイミングと銘柄選択

 正解をお伝えする前に、株式投資のリスクについて話します。新NISAの成長投資枠をどう使うか、に深い関係がある話です。

 投資によって資産形成するためには、リスクを負う必要があります。投資対象として、リスク別で大ざっぱに三パターンあります。

  1. 低リスク低リターン(リスクは低いがリターンも低い投資対象)
  2. 高リスク高リターン(高いリターンが得られる可能性があるが、失敗すると大きな損失につながる)
  3. 中リスク中リターン(低リスク低リターンと、高リスク高リターンの中間)

 銀行預金は、低リスク低リターンです。預金保険制度によって、預け入れ先の金融機関が万が一破たんしたとしても、普通預金や定期預金は1,000万円まで、保護されます。しかし、預金の利息は極めて少なく、資産を増やしていくことがなかなかできません。

 株式投資は、高リスク高リターンです。いい銘柄をいいタイミングで買うと、短期的に高いリターンが得られることもあります。一方、ダメな銘柄をダメなタイミングで買うと、短期的に大きな損失を被ることもあります。

 株式投資で管理すべきリスクとして二つあります。

  1. 投資タイミング・リスク: 長期的に上昇期待があっても、短期的には値下がりすることがあります。運が悪いと、買った直後に暴落することもあります。 
  2. 銘柄選択リスク: 日経平均株価(225種)や米国S&P500種指数などの株価指数が上昇しているのに、自分で選んで投資した銘柄が全然値上がりしない、または、値下がりしていることもあります。これは、銘柄選択の失敗です。

 このように、株式に投資することで長期的に資産を増やしていく期待がありますが、投資タイミングや銘柄選択を間違えると、大きな損失につながることもあります。

 急落・急騰をくり返しながら、長期的に値上がりしていく株式に、少しでもリスクを減らして投資するためには、どうしたら良いでしょうか?

資産形成の王道は「長期・分散・積み立て」投資

 銘柄選別や投資タイミングの選別で大きな失敗をせずに、株式投資をしていくのに優れた方法が、投資の王道といわれる「長期・分散・積み立て」投資です。

 日経平均やS&P500に連動するように運用されているインデックスファンドに投資すれば、銘柄選択リスクを減らすことができます。株式市場全体の平均点に投資する考えです。個別銘柄に投資して大きなリターンを得る可能性を放棄する代わりに、個別銘柄で大失敗することもなくなります。

 毎月3万円など、積み立て投資をすれば、投資タイミングで大きな投資をすることもありません。積み立てをしているうちに株が暴落すれば、それまでに投資した資産が値下がりします。

 しかし残念なことだけではなく、その安値で追加の積み立てができます。株が暴騰すれば、これまでの投資で得た保有資産が値上がりします。一方、そうしたうれしいことだけではなく、これから投資するには高値で買い付けしなければいけません。

 つまり、積み立て投資ならば、短期的な値上がり値下がりをあまり気にせずに、じっくり長期で続けていきやすいといえます。 

 新NISAのつみたて投資枠は、投資経験が少ない個人投資家が、管理手数料(信託報酬)の低いインデックスファンドを中心に「長期・分散・積み立て」投資ができるように設計されています。

 一方、成長投資枠は、積極的にリスクを取って個別株や幅広い投資信託に投資することも、可能です。ただし、それは個人の選択によります。個別銘柄の選択に挑戦したい人は挑戦することもできますが、したくない人はする必要はありません。

 成長投資枠は、つみたて投資枠と同じように使うことが可能です。個別銘柄への投資をしなくても、つみたて投資枠の投資対象となっている投資信託の買い付けにも使うことができます。 

 ここで、冒頭にあげたBさんの質問への回答を載せます。

(Bさんからの質問)NISAの「つみたて投資枠」「成長投資枠」でそれぞれ同じ投資信託を買うメリットはありますか?
(窪田の回答)はい、投資資金にゆとりがあれば、つみたて投資枠で買っている同じインデックスファンドを、成長投資枠で買っても良いと思います。

 つみたて投資枠は年間120万円です。毎月10万円を積み立てる(ボーナス時の購入設定なし)と、年間120万円の積み立て投資ができます。

 もし「1カ月10万円以上の投資余力があるが個別銘柄への投資はしたくない」ならば、成長投資枠でも、同じように積み立て投資をすれば良いと思います。

 それでは、以下、クイズの正解です。