ファンドマネジャーによる世界景気見通しが改善
米国市場で主要株価指数が高値を更新すると、経済評論家やメディアの一部で「高値警戒論」や「バブル論」などの説が増える傾向があります。一般個人投資家の関心を集めやすいので仕方がないかもしれません。本稿では、実際に大規模なポジション(運用資金)を動かしている世界のファンドマネジャー(機関投資家)の見方とその変化をご紹介します。
BofA(バンク・オブ・アメリカ)は毎月実施しているファンドマネジャー調査の最新結果を16日に公表しました。1月調査は、年金、ミューチュアルファンド(投資信託)、ヘッジファンドなどで実際に資産配分に携わる運用担当者221人(運用資産総額5,890億ドル:約87兆円)が調査対象となりました。
図表2は、同調査における「今後1年以内の世界経済はどうなると予想していますか?」(What is the most likely outcome for the world economy in the next 12 months?)との問いに対する回答結果の推移を示したグラフです。
1月調査の回答者のうち「世界経済はソフトランディング(軟着陸)もしくはノーランディング(成長を続ける)」と予想した回答比率が79%と昨年5月以降で最高となった一方、「ハードランディング(景気の後退や底割れ)」を予想した回答比率は17%と同期間で最低となりました。
BofAは1月の調査結果で、「今後1年で短期債利回りが低下すると予想した回答者は全体の91%と過去最高を記録した。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが見込まれていることが背景にある」とし、「FRBの金融政策が今年の債券利回りを左右する最も重要な要素になると回答したのは全体の3分の2、株価を左右する最も重要な要素になると回答したのは全体の52%だった」と述べました。
世界のファンドマネジャーの多くが、2024年はインフレの収束傾向に沿って米国で利下げが実施され、世界経済が底堅い成長を続けるとの見方に傾いている点に注目したいと思います。