日の為替ウォーキング

今日の一言

天才は、誰もが見ているものを見て、誰も考えたことのないことを考える

Jack & Diane

 12月の雇用統計の結果を受けてFRBが早期に利下げを開始しないとの見方が強まった。パウエルFRB議長は利下げ時期を明確にしていないが、マーケットでは3月に開始すると広く予想されていた。

 利下げ時期が後ずれすると考える根拠は、指標データに見る雇用市場の過熱が続いているからだ。しかし、雇用統計データのクオリティ問題も指摘されている。非農業部門雇用増加数は+21.6万人だったが、家計調査に基づく雇用者数は2020年4月以来の大きさとなる68.3万人の減少と、大きな差があるのだ。

 雇用統計は、サンプル数が年々少なくなり、データとしてのクオリティの劣化が指摘されている。米国の重要な経済指標の多くはアンケート調査に基づいているが、一般に家計調査の回答率が60%を下回るとそのデータの信頼性は低くなるといわれているが、NFP(非農業部門雇用者数)は40%程度、JOLTS(雇用動態調査)求人件数の企業からの回答率は30%程度しかない。また、スタートアップの小さい会社の雇用状況も調査から漏れている。

 誤ったデータに基づいて決定される金融政策は、誤っている公算が大きい。利下げを急ぎすぎてインフレが再燃したり、あるいは遅らせすぎて経済がリセッションに陥ったりするリスクが高いということだ。FRBがこれまで以上にデータに頼る時代だからこそ問題はより深刻だ。

 マーケットも影響を受けている。中央銀行の政策指針がないマーケットでは、好む好まざるにかかわらず個々のデータに過剰に反応することになり、望まれないボラティリティが生み出されているのだ。

 

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成