正常化後の利上げペース(付利の先行き)
次に正常化後の利上げペース(付利の先行き)です。日銀のマイナス金利政策は、当座預金を3階層に分け、そのうちの一つである「政策金利適用残高」にマイナス0.1%の金利を設定するというものです(図表1)。それ以外の2つ、すなわち所要準備を含む「マクロ加算残高」には0%、「基礎残高」には0.1%の付利が設定されています。
<図表1 マイナス金利政策のスキーム>
「マイナス金利政策を解除する」とは、この政策金利適用残高のマイナス0.1%を引き上げることを意味しているわけですが、最も単純な変更は、所要準備以外の当座預金残高を政策金利適用残高として統一するというやり方です。それに対する付利は、現在の基礎残高と同じ0.1%になります。
マイナス金利政策解除後の政策金利は、2013年4月に黒田東彦前総裁が異次元緩和を開始する直前である2013年3月金融政策決定会合と同じ、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」に戻すのが自然です。そうすれば、上の政策金利適用残高の付利0.1%とも齟齬はありません。その上で、以下の3つのケースを設定しました。
ケース(1)…政策金利(=付利)を2024年度0.1%、2025年度以降0.5%と設定
ケース(2)…政策金利(=付利)を2024年度以降1.0%と設定
ケース(3)…政策金利(=付利)を2024年度以降2.5%と設定
長期金利の先行き
長期金利(10年)については、2000年から2012年までの長短スプレッドの平均値約1.0%を参考に、ケース(1)は「2024年度1.0%、2025年度以降1.5%」、ケース(2)は「2024年度1.5%、2025年度以降2.0%」、ケース(3)は「2024年度1.5%、2025年度以降3.5%」と設定しました。