トヨタ自動車の場合
株式会社タローの事例で、1年間ビジネスをやってバランスシートや損益計算書がどのようになるか確認しましたが、実際の事例としてトヨタ自動車の例を取り上げてみたいと思います。
株式会社タローと比較すると、数字の桁があまりに違いますが、基本的に見方は同じです。
平成28年3月末時点で会社のバランスシートは47.4兆円(資産)あり、株主資本は18兆円、銀行などからの借入が29.3兆円ありました。
平成29年3月末までの1年間でビジネスを行い(つまり、自動車部品を購入し、自動車を組み立て、販売することで売上を上げることで)、売上が27.5兆円、そのための費用が25.6兆円、営業利益が1.9兆円となったわけです。
法人税などを支払いますので、株主に帰属する純利益としては1.8兆円となっています。そして、配当として0.6兆円を株主に支払っています。
トヨタ自動車も株式会社ですから、株式会社タローと同じようにお客様に商品・サービスを提供することでビジネスを行い、売上をあげて利益を出し、そこから一部を配当として株主に支払い…という活動を継続的に行っているわけです。
トヨタ自動車を例に出しましたが、どんな業種・業界の株式会社であっても同じです。
株式投資の収益の源泉は、このように株式会社が世の中に商品・サービスという付加価値を提供し、ビジネスを行っていくことですから、株式会社がビジネスを行い、利益を出すには必ず時間がかかります。1週間や1日、ましては数時間、数分などで、ビジネスで大きな利益を出すことは基本的に不可能です(仮に、できるものがあると誰もがそれをやりますので、そのビジネスでの競争が激しくなり、魅力は急速に低下していくはずです)。
このように考えると、株主となって収益(リターン)を得るためには、短期間の投資では難しく、長期の投資が必要になってくるのもご理解いただけるのではないでしょうか。
まとめ
少し長くなってしまったのでまとめておきます。
- 株式を購入することで、その会社の利益分配、つまり配当金を受け取る権利を持つことになります(インカムゲイン)。
- また、株式そのものの価値(価格)が上昇することによって値上がり益を得られることもあります(キャピタルゲイン)。
- もちろん、株式そのものの価値(価格)が下落することによる値下がり損失を被る可能性もあります。
- 株式投資の収益(リターン)の源泉は、その会社がビジネスを行って利益を出すことであり、株式の価格の変動をうまく捉えることではありません(売買タイミングではありません)。
注)
- 基本的な考え方を説明するため、税金などの面については省略しています。
- ここでは簡単に説明するため、キャピタルゲインを、バランスシートの大きさの変化と同一視しましたが、キャピタルゲインおよびキャピタルロスは、取引所で取引されている株価の変化で計測されることが一般的です。
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ファイナンシャルプランナー。株式会社ウェルスペント 横田健一さん Twitter @ken1yokota でも情報発信中! |