よい株式会社は複利マシーン?

「もう一つ大切なポイントがあります。株式会社の仕組みは『複利』になっているという点です。まずは『単利』と『複利』の違いについて簡単にご説明しておきましょう。『単利』は利息をそのまま出すだけですが、『複利』は利息をまた元本に組み込みます。つまり100万円を10%複利で運用すれば、1年目に10万円の利息がでますが、それをまた元本に組み込むので2年目の元本は110万円になり、2年目の利息はその10%で11万円、またそれを元本に入れ121万円になるというように増えていきます。

株式会社の仕組みも同じです。利益から税金、株主への配当金を払った後のお金は手元に残ります。そのお金を使ってまた新しい設備や人を雇って、前年同期比での売り上げ増を目指していきます。前の年の利益を内部に溜め込み、そのお金を使って前年以上の利益を得ようとするわけです。利息を元本に組み込み、利息+元本にまた利息がつく複利の仕組みと同じですね。

このサイクルがうまく回れば、起業→営業→売上げ→利益→株主への配当→内部留保の増加→設備投資・社員教育→売り上げ増となります。つまり、株式会社は『複利』でお金が増えていく、『複利マシーン』としての側面を持つのです。この株式会社=複利マシーンという考え方は、長期投資をする上で重要になります」

「なるほど、なぜ株価が長期的に上がっていくかがすっきりわかりました。長期的に継続していく企業に投資をしていれば、その会社が成長をしていく限り株価はずっと上がっていくということですね」

「その通り。世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェットは、『あなたの株式への投資期間は?』と聞かれると「永遠だ」と答えています。永遠というのは大げさにしても、長期で投資をしていれば、株式は上がっていく、だからこそ200年間で米国株は60万倍にもなる。ただ、60万倍といっても年率に直すと実は7%前後。いかに複利の効果がすごいか、ということがわかりますね」

第11話:「ご機嫌いかが?Mr.マーケットとバブルとマグロ」を読む

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