会社の利益と株価の関係

「なにより。では最初の疑問であった、『どうして株の価値というのは上がっていくのか』を考えてみましょう。むろん、株価も大根やマグロの値段と同じように、日々の需要と供給で決まります。その需給の背景にあるのは会社の価値です。その価値を株数で割った、1株当たりの価値が、株価となります。ここでは簡単に、会社の価値を会社の持つ利益を生み出す力として考えてみましょう。会社が儲けてくれれば、その分け前を株主たる自分が得られるから、株を買うわけです。そうすると、株価の需給の背景は、1株当たりの利益。つまり、需給で日々の上げ下げはあっても、長い目で見れば、1株当たりの利益が増えそうなら株価が上がることになります。この点を、具体的にお話ししましょう」

「仮に、10人が100万円ずつ出し合ってネット広告の会社を設立したとします。その時点での株価というのはまだ何もしていないので通帳残高が1,000万円のまま。この時点での株価は1,000万円/10株で、1株あたりの価値=株価は100万円です。会社の経営者である田中さんは1,000万円の中から、パソコン、コピー機、机などを買い、従業員を雇ったとします。

そして、半年間まったく利益が上がらず、通帳残高が500万円になってしまいました。
この時点では、株価も500万円/10株で1株は50万円と下がってしまいました。

しかし、人というのは底をみてから奮起するものです。田中さんと従業員が必死で新規開拓したところ、大手のお客さんが見つかり、そこから順調に紹介客も増えていきました。そして第1期目を締めたところ、売り上げが3,000万円、そこから給料などの販売管理費の1,500万円を引いたところ利益が1,500万円に上り、税金を40%払っても900万円が手元に残りました。

すると、この会社の通帳残高は500万円+900万円で1,400万円あることになります。この時点での株価は、1,400万円/10株で1株は140万円。最初に100万円出資した人は、ここで売れば40万円の利益を得られることになります。

簡単に言うと、株主から預かったお金を使って売り上げを上げて、経費を除いて利益が出ていると、会社の普通預金の通帳残高は増えていくわけです。そして最終的にはこのお金は株主のものなので、残高が増えるに従って株価も上がっていくというわけです」

「なるほど、いつも株価ばかりみていて、株式の価値の部分はほとんど考えたことがなかったです。東証一部に上場している会社も設立1年目の会社も同じく株の価値が高まるから株価が上がるわけですね」