2024年の投資戦略

 今年もあと少しとなりましたので来年の投資戦略について述べます。

 まず2024年の米国株は1年を通じて+12.8%の上昇を見込んでいます。来年は大統領選挙の年で、過去の経験則に従えば、現職の大統領(=ジョー・バイデン)が再選を目指して立候補する場合は平均して+12.8%の上昇が記録された(出典:ストックトレーダーズ・アルマナック)からです。

 現在、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは5.25~5.50%であり、これは引き締め気味の水準だと言えます。今後、消費者物価指数が鎮静化するに従い、利下げ余地が出てきます。

 FRB(米連邦準備制度理事会)のメンバーたちは最新の経済予想サマリーというアンケート調査の中で「2024年は3回の利下げがある」ことを予想しています。利下げは株式バリュエーション支援材料となりますので来年は基本、株式に強気で良いのです。

 ただし選挙の行方は予断を許しません。現職の大統領が負けるシナリオでは年初から株式市場がおかしな動きをすることが知られています。その場合、すぐに考えを修正し、もっと控え目な予想に下方修正したほうが無難だと思います。いずれにせよ、早い段階でかなり来年1年の動きは読めてしまうと予想されるわけです。

ソフトランディングはあるのか?

 私は1988年にアメリカに来ました。それ以来、米国株にかかわる仕事をしてきたわけですが、これまでにソフトランディングが実現した例は1回しかありません。それは1995年でした。リセッションは4回経験したのにソフトランディングは1回しか無かったということは、そもそもソフトランディングを演出することが極めて難しいことを示唆していると思います。

 1995年にソフトランディングに成功した一因として当時はインターネット・ブームの起点だったこともあり、1995年から2000年にかけて米国の労働生産性は第二次世界大戦後の全期間に比べて高い伸びを示していた事が挙げられます。

 労働生産性が向上すればインフレを誘発することなく経済が高い成長を維持できると言われています。これが1990年代後半のアメリカの強さの秘密だったというわけです。

 いま米国はAIブームに沸いています。AIはホワイトカラーの労働の生産性を向上させる可能性を秘めています。この技術革新が1990年代後半と同じような効果を米国経済にもたらすのであれば、今回もソフトランディングが実現する可能性が高まるというわけです。

 市場参加者はなぜソフトランディングにこだわるのでしょうか?

 それは経済がソフトランディングしたとき、株式のバリュエーションは2倍近く伸びたからです。言い直せばソフトランディングはマルチプル・エクスパンションをもたらすということです。

 あの当時は米国経済のひとり勝ちということが言われました。ドル円は基調としてドル高でした。

 これは世界のマネーがより安全で高い成長が見込める米国へなだれ込んだことが原因です。

まとめ

 2024年は年間を通じて+12.8%前後の上昇を見込んでいます。選挙はみずもの。ひょっとしてバイデン大統領が負けるというシナリオなのであれば年初の早い段階で株式市場に変調が生じるかも知れません。FRBは2024年中に3回の利下げを行う可能性があります。これは株式バリュエーションにとって良い材料です。

 いまアメリカはAIブームですが、もしAIが労働生産性の向上をもたらすのであれば、インターネット・ブームの頃と同様のマルチプル・エクスパンションが起こる可能性もあります。