NISAで「新興国株にも分散投資したい」とのニーズを検討

 来年1月から始まる新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)に向け、先進国株式だけでなく成長期待が高い「新興国株式」に分散投資したいニーズもあります。

 長期市場実績を振り返ると、米国市場で金利低下やドル安が見込まれる状況になると、「金利上昇」や「ドル高」が重しとなりやすい新興国市場のパフォーマンスが改善した経験則があります。ブルームバーグは5日、「米金利低下やドル安で新興国ETF (上場投資信託)に資金流入が拡大している」と報道しました。

 特に、「(中国を除く)新興国株式ETFは、運用資産の総額が2023年第4四半期(10-12月)に50%超の増加を示し、2021年9月以降で最も高い伸び率を示している」と指摘しました。

 実際、MSCI新興国株指数の時価総額ウエートで約3割を占める中国では、不動産不況による景気への懸念が根強く、20%を超えるとされる若年者層の失業率、物価指標のデフレ傾向、一党独裁体制への不安などが重なりMSCI中国株指数は年初来で15.4%下落する低調となっています(13日)。

 図表2は、MSCI新興国株指数と「中国を除くMSCI新興国株指数」の相対推移を年初来で比較したものです。中国を除く新興国株に投資マネーが向かっていることを示しています。そのけん引役とされているのがインド株式です。

 インド市場の代表的株価指数であるSENSEX指数は12月11日に史上最高値を更新しました。インドは今年前半に総人口(約14億2,000万人台)で中国を抜いたとみられ、平均年齢も28歳であることから「人口ボーナス期」と呼ばれる高度経済成長期を迎えています。

 内需拡大への期待が高まる中、現モディ政権が推進する「メイク・イン・インディア」の効果もあり、欧米や日本などの多国籍企業(グローバル企業)がインドでの生産拠点や販売網を拡充する動きが鮮明となっています。

<図表2>「中国を除く新興国株指数」が優勢となっている

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年初~2023年12月13日)