正解は値動きが激しい投信です

【正解】値動きが激しい投信Bに投資した方が得です。

 投信Aでは、投資した2万円が、3カ月後に2万円のままですが、投信Bでは、投資した2万円が、3カ月後に2万0,800円に増加します。

【解説】

 投信Bに、1万円ずつ投資し続けると、価格が1カ月後に上がった時には少ない量しか買えませんが、価格が2カ月後に下がった時にたくさん買えます。高い時に少し買い、安い時にたくさん買う運用が、自然にできていることになります。

【さらに詳しい解説】

 一方、投信Aは価格が動きません。1カ月後に1万円で1単位、2カ月後にも1万円で1単位、合わせて2単位、買えます。その評価額は、3カ月後に2万円です。値動きがないので、損も得もしません。

 投信Bは、どうでしょう?

 1カ月後、1万2,000円に上昇したときは、1万円で0.83単位しか買えません。1万円しか投資しないので、価格が1万2,000円の投信Bは、0.83単位(10,000÷12,000)しか買えません。

 ところが、8,000円に下がった2カ月後には1万円で、1.25単位(10,000÷8,000)買えます。合わせて2.08単位(0.83+1.25)、取得できます。3カ月後に価格が1万円に戻れば、評価額は、2万0,800円となります。2万円投資して2万0,800円になるので、800円だけ資産価値が増えます。

ファンドマネージャーにとってもうれしかった「積み立て投資」

 私は、25年間、年金・投資信託などの日本株を運用するファンドマネージャーでした。ファンドマネージャー時代に、とても残念に思ったことと、うれしかったことがあります。

 まず、残念なこと。私が運用していた公募投資信託(日本株のアクティブ運用ファンド)では、日経平均の高値圏で設定(買い付け)が増えるのに、日経平均の安値圏では、ほとんど設定がありませんでした。株は安い時に買って、高くなった時に売ると利益が得られるわけですが、公募投信では、残念ながら、その逆の動きが見られました。

 次に、とてもうれしかったこと。私が運用していたファンドが、DC(確定拠出年金)の運用対象となったことです。多数の企業に採用していただけました。DCでは、毎月、一定額の設定が入り続けます。加入者の方に、定時定額で積み立てしていただいたことになります。そうすると、日経平均の高値でも、安値でも、淡々と設定が入ってきます。

 日経平均が大暴落して世の中が総悲観になっている時、往々にして、絶好の投資チャンスとなっています。ファンドマネージャーとしては、そんな時こそ、しっかりと投資を増やしてほしいと思います。ところが、公募投信では、そういう時に、設定が入ってきません。

 私が運用していたDCファンドでは、定時定額の積み立て投資が入ってきますので、2008年のリーマン・ショックで日経平均が大暴落し、世の中が総悲観になっている時でも、淡々と積み立てが入ってきました。2020年2月のように、コロナショックで急落したところでも、積み立て投資では安くなったところで投資が続けられています。

 誰でも、株は安い時に買って、高い時に売りたいと思うのでしょうが、言うのは簡単で、やるのはとても難しいことです。そうするためには、世の中総悲観になっている時に、株を買い、みんなが明るくなって強気になっている時に、株を売らなければなりません。

 それは、少しひねくれた人にしかできないことです。普通の素直な人は、みんなが明るくなっている時に、株を買いたくなり、暗くなっている時に、株を売りたくなるでしょう。

 普通の素直な人は、いいタイミングで株を買い、いいタイミングで売ろうと変にしない方がよろしいかと思います。それでは、どうするべきか? 私は、定時定額(例えば毎月1万円)の積み立て投資をしていくべきだと思います。