今日の為替ウォーキング
今日の一言
経験とは、あなたに起こったことではない。起こったことに対してあなたのしたことである
Burn
「労働者は何処に消えたのか?」その問いに対する最初の答えは、「人材在庫」の積み上げだ。1973年(昭和48年)のオイルショックの時に日本全国の店先からトイレットペーパーが消えたように、新型コロナ明けの経済再開に向けて労働者を「ため込んで」きたのだ。
しかしこの状況にも変化が現れている。FRBが利上げを続けるなか、企業は景気回復の期待を大幅に下方修正する必要がでてきたからだ。
もう一つの答えは、大退職時代(グレート・レジグネーション)だ。米国の労働参加率が急速に下がり、その後回復していない原因でもある。
ベビーブーマー世代と、リーマンショックで年金を失って働き続けるしかなかったシニア層が、新型コロナ下の株高のおかげで、引退するのに十分な資金を手にして一斉に労働市場からサヨナラした。米セントルイス連銀によると、2009年から2020年までの約10年間の米国の雇用増加の理由の大部分は、55歳以上の就業増で説明できるという。その労働力を支えた人たちがそのままいなくなったのだ。
ところが、退職した人の4分の1以上が、その判断が正しかったかどうか迷っているようだ。高インフレのために想定をはるかに超えるスピードで貯蓄が目減りし、再び働くことを検討している人が増えている。それは55歳以上ばかりではなく、一時のFIREブームで早期退職した人も含まれる。高金利に耐えきれなくなった米株式市場が本格的なダウントレンドに突入する時代になれば、再就職する人はさらに多くなるだろう。FRBが米景気後退を予測しながらも、失業率に関しては楽観的見通しを持っているのはこの状況を予見しているからだろう。