日銀会合でのYCC修正有無、物価見通しの上方修正に注目

 日銀会合では、最近YCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の修正観測報道が出ていますが、実際にこの通りになるかどうか焦点となります。米10年債が16年ぶりに5%台の高水準を付けたことに引っ張られて、日本の10年債利回りも10年ぶりに0.86%台を付けたことから、YCCで長期金利の変動上限を現在の1%からさらに引き上げるのか注目を浴びています。

 そして、日銀が四半期ごとに公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しにも注目です。2023年度物価見通しは前回7月の2.5%から、3%近くに、2024年度は1.9%から2%超に上方修正されるとの見方が強まっています。YCCが修正され、物価見通しが上方修正された場合には、FOMCを待たずに円高に進むことが予想されますが、物価の上方修正だけでは、円高の反応は限定的かもしれません。

 そしてFOMCでは、11月、12月ともに利上げを見送るとの見方が大勢となっています。FOMC後のパウエル議長の会見が、19日の講演と同じような内容であれば、反応は限定的になると予想されます。また、長期金利の上昇が利上げの代替効果になっているとの見方を強調するのかどうかも確認したいです。

 FOMCメンバーの間でこの考え方が浸透しているのであれば、12月の利上げ見送りもかなり織り込まれることが予想されます。そして、10-12月期以降の景気減速や3%超の物価水準を受けて、来年の利下げ時期にどのような認識を示すのか注目です。

日米の金融政策の不透明感払しょくされ、相場動く可能性も

 今回、FRBは利上げ見送りとなり、年内も利上げなしとの見方が大勢となっても、米長期金利が高止まりする限り、また、日銀の政策修正がなければ、為替相場はドル高円安で推移することが予想されます。

 パレスチナ情勢も大規模な地上戦は延期となっており、膠着(こうちゃく)状態が続いているため、今のところ原油や世界経済に大きな影響を及ぼしていないことから市場の変動要因とはなっていません。

 従って、日米金融会合が終わっても再び為替の膠着相場が続く可能性があります。日銀の物価修正によって、多少レンジを円高方向に切り下げての膠着になると考えられる一方で、日米金融会合が終わったことにより年内の不透明感がなくなったと解釈されるかもしれません。

 不透明感という重しがなくなったことで、相場が動きやすくなるというシナリオにも留意しておきたいと思います。