米国高配当株3:ユニリーバ(UL)

 ロンドンに本社を置く世界最大級の消費財メーカーです。

 ユニリーバの有するブランドは世界全体で400以上となっており、そのうち14のブランドが年間売上10億ユーロ以上で、13のブランドが世界のトップ50ブランドにランクインし、毎日190カ国以上で34億人以上がユニリーバ製品を使用しています。

 総売上高は、2022年12月末現在で601億ユーロとなっており、地域別売上構成比はアジア・パシフィック・アフリカ 46%、欧州 19%、米国 35%と早くから世界各地に深く根をおろしバランスの良い売上比率となっています。

 時価総額は1,217億ドルで、日本円で約18兆1,900億円となっています(1USD=149.50円換算)。 

事業の注目ポイント

 事業の中心は「パーソナアルケア事業(Personal Care)」で、続いて「ニュートリション事業(Nutrition、栄養改善事業)」、「美容健康事業(Beauty & Wellbeing)」、「ホームケア事業(Home Care)」、「アイスクリーム事業(Ice Cream)」となります。

「Personal Care」では、主に皮膚洗浄(せっけん、シャワー)、デオドラント、オーラルケア(歯磨き粉、歯ブラシ、マウスウォッシュ)製品の販売をしており、「Nutrition」では主にスクラッチ調理補助食品(スープ、ブイヨン、調味料)、ドレッシング(マヨネーズ、ケチャップ)、お茶製品の販売を、「Beauty & Wellbeing」では主にヘアケア(シャンプー、コンディショナー、スタイリング剤)、スキンケア(フェイス、ハンド、ボディ用保湿剤)の販売を行っています。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移しており、配当は四半期ごとに変動するものの前年同期を上回って推移しています。

 欧米のトップ投資家は、消費財メーカー各社に価格高騰への懸念を表明しており保有株式の一部を売却する動きを見せたこともあって業界全体的に株価は停滞しています。

 また、消費財業界はヒマワリ油、輸送、包装、穀物などあらゆるものが高価になり、ロシアがウクライナに侵攻し、エネルギーコストが過去最高を記録した昨年以降さらにコスト高騰に苦しんでいます。

 一方で、トライアン・ファンド・マネジメントのネルソン・ペルツ氏はユニリーバを高く評価し同社株を買い進めております。

 インフレがこれ以上大幅に悪化しないと仮定するならば、4%近くまで上昇した配当利回りのこの状況でユニリーバを長期保有するのも良いのではないでしょうか。

業績動向

 2023年7月25日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想通りとなり、売上は市場予想を上回りました。コスト増を補うために値上げを行ったことが、四半期ベースで予想を上回る売上高を計上しました。

 会社側は、不安定で高コストな環境の中、2023年も力強い基礎的売上高の成長を実現し、通年の基礎的な売上高成長率は5%を上回り数年来のレンジを上回ると予想しており、基礎的な価格上昇率は通年を通じて引き続き緩やかになると考えていると発表しています。

 また、会社側はこれからの課題はユニリーバの中核的な強みを活用し、業績と競争力の向上を推進することで、10月の第3四半期決算報告時に業績と競争力の向上推進についてさらなる詳細をお伝えできることを楽しみにしていると発表しています。

 次回2023年10月26日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 配当は四半期ごとに変動するため、想定よりも受け取る配当金が少なくなる可能性がある点には注意が必要です。 

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.25ドル
配当利回り:3.93%
株価:47.77ドル(約7,100円)

 この銘柄、権利落ち日は11月16日(権利実施は12月8日)です。

 配当利回りは1013日時点で3.93%、株価は1013日終値が47.77ドルでおよそ7,100円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年からの最高値は63.44ドル、最安値は43.05ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:フォーティス(FTS)

 フォーティス社は、1885年に現在のニューファンドランド・ラブラドール州に設立されたセント・ジョンズ・エレクトリック・ライト社に端を発し、現在フォーティスの有する多様な関連会社には、電気・ガス事業が10社あり、総資産は640億ドルで、カナダ、米国、カリブ海地域の300万人以上の顧客にサービスを提供しています。

 関連会社の中にはミシガン州、アイオワ州、ミネソタ州、イリノイ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州で高圧送電インフラを所有・運営し米国最大の独立系送電会社であるITC HOLDINGS CORPなどがあります。

 時価総額は192億ドルで、日本円で約2兆8,700億円となっています(1USD=149.50円換算)。

事業の注目ポイント

 多くの子会社を保有していますが、その中心は「UNS Energy」で、続いて「ITC」、「Other Electric」、「FortisBC Energy」、「Central Hudson」、「Fortis Alberta」、「FortisBC Electric」、「Energy Infra-structure」などがあります。

「UNS Energy」では、ツーソン電力、UNS 電力、UNS ガスを通じて主にアリゾナ州で発電およびエネルギー供給事業に従事し、「ITC」はITC Transmission、Michigan Electric Transmission Company、ITC Midwest、ITC Great Plainsを通じて高圧送電インフラを建設、運営、保守を行う送電事業に特化した事業となっています。

競合他社

 競合他社として、子会社を通じて、発電と配電を行い、再生可能エネルギーを含むエネルギーサービスと技術を提供するエジソン・インターナショナル(EIX)、約430万世帯の家庭、商業、工業分野の顧客に電気と天然ガスを提供するビストラ・コープ(VST)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は50年連続で増配しています。

 ここ10年間でも株価はあまり大きな変動はなく、配当利回りも3~4%台を推移しています。9月には普通株配当を4.4%増配することを発表し、2024~2028年の資本計画は250億ドルとなり、2028年までの年間配当成長率を4~6%とするガイダンスも発表しています。

 なお、250億ドルの資本計画はフォーティス史上最大であり、この計画によって中間期の料金ベースは2023年の368億ドルから2028年には494億ドルに増加すると予想され、為替変動を考慮しない場合、5年間の年間平均成長率は6.3%となると会社側は発表しており今後も安定した業績と株価が期待されます。 

業績動向

 2023年8月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上はほぼ市場予想通りでした。

 アリゾナ州で天候の悪化と卸売のタイミングによる電力小売販売の減少などの影響があったものの、ITCとカナダ西部の公益事業での料金ベースが好調に伸びたことで1株利益は市場予想を上回りました。

 会社側は、エネルギー価格の変動、世界的なサプライチェーンの制約、金利上昇、インフレは潜在的な懸念材料ですが、2023年にはこれらの要因が当社の事業や業績に重大な影響を及ぼすことはないと考えていますと発表しており、今後も堅調な業績で推移することが期待されます。

 次回は2023年10月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 山火事などの自然災害があった際に、送電網へ多大な影響が出るような状況の際には業績に大きく影響する可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.75ドル(楽天証券HPより)
配当利回り:4.14%
株価:40.09ドル(約5,900円)

 この銘柄、権利落ち日は11月16日(権利実施は12月1日)です。

 配当利回りは1013日時点で4.14%、株価は1013日終値が40.09ドルでおよそ5,900円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年3月からの最高値は51.61ドル、最安値は29.08ドルとなっています(終値ベース)。