コモディティのスーパーサイクル
ブルームバーグの報道によると、「国際秩序は、第二次世界大戦後の混乱後のどの時期よりも多くの場所で、より大きなストレスにさらされている」という。
ボブ・エリオットは、「最近、私たちが経験した数十年にわたる平和は、長期的な文脈から見れば極めて異例なことである。600年にわたる紛争チャートは、最近の紛争がいかに極端に少ないかを浮き彫りにしている(13年以降、1.0を下回るまで上昇している)。ほとんどの投資家は、紛争が増加する時期への備えができていない」と、紛争の拡大を懸念している。
1400年以降の世界の紛争による死亡者数
世界経済は主要な成長エンジンが減速し、地政学的緊張、高水準の公的債務、高齢化などの短期要因と長期制約が重なり、勢いを失いつつある。心配されるのは原油価格の動向である。確率は低いが、最も極端なシナリオは、イスラエルがイランの核施設を攻撃することである。この場合、原油価格(WTI)は150ドルを大きく上回る可能性がある。
NY原油CFD(週足)
オクシデンタル・ペトロリアム(週足)
長期的に見ても上昇傾向にあり、再び100ドルを超えてくることも想定される。
1970年以降の原油価格の動向
JPモルガンは昨年、コモディティにおける長期のダウンサイクルは終わり、新たなコモディティの上昇、特に原油の上昇サイクルが始まったと指摘している。世界は次のコモディティの「スーパーサイクル」に突入したという予測である。
過去100年間で、一般的に4回のコモディティスーパーサイクルがあったといわれている。前回の1つは1996年に始まった。そのスーパーサイクルは2008年(拡大の12年後)にピークを迎え、2020年(12年の収縮後)に底を打ち、新しいスーパーサイクルの上昇局面に入ったというものだ。
原油のスーパーサイクルとそのドライバー
1996年からのスーパーサイクルをけん引した重要なドライバーは、中国を含む新興国の経済的な台頭であった。当時、米ドルは弱含んでおり、資産運用会社はポートフォリオを分散させるためにコモディティへのエクスポージャーを追加するケースが増えていた。
その後、2008年の世界的な景気後退は、欧州(2011年)と中国(2015年)のさらなる減速と相まって、コモディティ価格を下押しし、トランプ政権時代の「貿易戦争」やそれに続く世界的な製造業の不況、そして原油価格を史上初めてマイナスの領域に送り込んだ悲惨なパンデミックを経て、12年のダウンサイクル(価格下落サイクル)の終わりを告げたと見ている。
米帝国の背後にある典型的なビッグサイクル
ロシアによるウクライナ侵攻、ハマスによるイスラエルへの攻撃だけではない。紛争の火種は世界のそこかしこでくすぶっている。イスラエルにとって最悪のシナリオが浮かび上がっている。
それは、ハマスよりもはるかに手強く、装備の整った準軍事組織であるヒズボラを巻き込んだ恐るべき多面戦争である。まさにレイ・ダリオの指摘する革命と戦争のフェイズにあるようだ。しばらくは中東情勢と原油価格の動きから目が離せない。