在庫の縮小などで下期の業況回復に期待、部品より完成品メーカーが有利に

 香港株式市場では最近、中国本土系のハードウエア銘柄が売られる展開となっているが、BOCIはファンダメンタルズの悪化に起因する調整ではなく、外国資金の流出といったマクロファクターが影響しているとの見方。主要メーカーを対象としたリサーチの結果、在庫レベルの縮小や買い替え需要の高まり、ファーウェイの『Mate60 Pro』 とアップルの『iPhone 15』の出足好調を背景に、2023年下期の業況回復見通しが依然強いと報告した。ハードウエア銘柄の中では、比較的良好な競争環境下にあり、早期の採算性改善が期待できるとして、部品サプライヤーより完成品メーカーを有望視。スマートフォンとIoT(モノのインターネット)製品の成長潜在力やEV(電気自動車)の量産化期待から、小米集団(01810)をトップピックとしている。

 2023年上期には、スマホ部品大手のBYDエレクトロニック(00285)など少数を例外に、コンシューマー・エレクトロニクス銘柄の業績は低調だったが、同時に、広範に回復の兆しが見られた。在庫レベルの低下がその一つ。「ダブルイレブン」(中国のネット通販セールイベント)やインドの新年ディワリ、クリスマスという10-12月の商戦に向け、主要メーカーが部品発注を開始したことも、下期の需要見通しを改善させた。

 また、中国国内では、スマホの買い替えサイクルが4年を超える中、潜在的な買い替え需要が過去最高水準に達しているもよう。ファーウェイのスマホ新機種『Mate60 Pro』(9月3日正式発売)は爆発的人気で品薄となり、在庫不足と緊急発注が発生。スマホの需要指標となる部品大手2社、舜宇光学科技(02382)、Qテクノロジー(01478)の月間出荷量は2カ月連続で前月比プラスだった。また、中国の政策的な不透明感にもかかわらず、アップルの『iPhone 15』の予約販売も好調に推移しているという。

 一方で、中国のハードウエア銘柄の株価は過去30営業日にわたって、主要株価指標をアンダーパフォームした。BOCIのカバー銘柄では、BYDエレクトロニックが13%高、Qテクノロジーが8%高、小米集団が3%高となる半面、瑞声科技(02018)が19%安、舜宇光学科技が10%安。全般に完成品メーカーが部品サプライヤーを上回るパフォーマンスだった。市場競争の度合いや供給過剰による打撃という点で、寡占状態にある完成品メーカーのほうが、部品メーカーより有利な環境にある。

 BOCIは引き続き、小米集団をトップピックとしている。需要不足による悪影響をサプライチェーンに転嫁できる環境にある点が理由の一つ。また、同社は創業以来、人材配置の最適化と厳格なコスト管理を続けてきた稀有な経歴を持ち、四半期ごとに少なくとも、純利益5億元の計上が期待できるとした。一方、中国EV市場での競争激化にもかかわらず、BOCIは同社のEV事業の先行きを楽観。ターゲットユーザーに対して比較的安価な電子製品を供給する能力が、国内EV市場での地位の確立に寄与するとみている。