短期的な原油高観測で中国メジャー3社の利益見通しを上方修正、CNOOCが最有力

 自主減産を年末まで3カ月延長するとのサウジアラビアの発表を受け、国際原油相場は1バレル=90米ドルを上回る水準で推移している。BOCIは世界的な供給不足を理由に、年内の原油相場の高止まりを予想。2024年には供給過剰に転じる見通しを示しながらも、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国から成る「OPECプラス」や、サウジがさらなる減産の強化や延長に動く可能性を指摘した。原油価格に関する見通しを引き上げるとともに、中国の石油セクターに対する強気見通しを継続。中国の石油メジャー3社の株価の先行きにいずれも強気見通しを付与し、オフショア石油開発の最大手であるCNOOC(00883)をトップピック銘柄としている。

 BOCIは国際エネルギー機関(IEA)の最新の需要見通しと、サウジ、ロシアによる減産の延長を考慮し、国際原油市場の供給不足量が7-9月には日量190万バレル、10-12月も同140万バレルに上ると推計している。供給ひっ迫を背景に、ブレント原油価格は9月19日に月初比9%高の1バレル=95米ドルに到達。2022年11月以来の高値を付けた。

 米国による対イラン制裁の緩和の兆しを受け、イランによる原油供給がこの先増える可能性はある。ただ、8月に300万バレルだった日量が仮に380万バレル(トランプ前政権によるイラン核合意からの離脱前の実績)まで回復しても、全体の供給不足をカバーするには至らないという。

 続く2024年について、BOCIは今のところ、日量120万バレルの供給過剰を見込む。IEAの最新予測では、需要の伸びは日量100万バレルとなる見通しだが、非OPEC加盟国の増産やOPECプラスによる生産目標の上乗せがこれをカバーする可能性が高いため。ただ、供給過剰を避けたいOPECプラスがより厳格な減産に動く、あるいはサウジが11月の会合で自主減産を延長する可能性があり、仮にそうなれば、状況が変わることになる。

 BOCIは最近の原油高を受け、ブレント原油価格に関する2023年の予測を1バレル=平均84米ドルから86米ドルに上方修正。2024年、2025年に関しても、それぞれ84米ドル(77米ドル)、78米ドルに引き上げ(73米ドル)、長期見通しを70米ドルに据え置いた。

 これに伴い、中国石油メジャー3社の2023-25年の利益見通しを引き上げたが、中で原油高を受けた精製マージンの上昇が期待できるシノペック(00386)の上方修正幅が最も大きく、14-22%。川上の原油生産事業を主力とするペトロチャイナ(00857)とCNOOCに関しては、超過利潤税の影響を理由に2-12%の引き上げ幅とした。

 トップピック銘柄はCNOOCだが、これは原油高による恩恵が最も大きく、さらに2023-25年の予想配当利回りが9.1-9.5%の高水準にあることが理由。石油精製最大手のシノペックについては、7-9月決算がポジティブサプライズとなる可能性を指摘。2023-25年予想で9.6-10.9%という、同社H株の魅力的な配当利回りにも言及している。