ゲームと音楽配信ビジネスを楽観、テンセントとネットイースを有力視
BOCIはこのほど、香港と上海の機関投資家20社を対象としたインターネットセクターに関するオフラインマーケティングの結果を報告した。主にゲーム、広告、ライブストリーミング、音楽配信、人材紹介、ヘルスケア、長編動画配信などの分野が対象だが、投資家は現在の不安定な相場環境の下で慎重姿勢に傾き、アウトパフォーム銘柄を物色していることが分かったという。BOCIはセクター全体に対して強気のレーティングを付与し、セグメント別ではゲーム>音楽>広告>求人セクターの順で楽観視。銘柄別ではテンセント(00700)、ネットイース(09999)、テンセント・ミュージック(01698)、快手科技(01024)、カンジュン(ナスダック:BZ)の順で選好している。
2023年下期に関しては直近の回復トレンドや競争環境、持続的なけん引役の存在、ファンダメンタルズなどを考慮し、ゲームや広告を楽観。ゲームに関しては、投資家の関心は国内市場の成長見通しや競争環境、政策的な規制に関する洞察(特に配信認可)、海外展開、生成AIによる影響などに集中したという。BOCIは複数の調査会社の月次データや国内の規制緩和を考慮し、ゲーム市場全体の2023年の売り上げ成長見通しを前年比1桁台後半に上方修正。生成AIによる影響に関しては、当初の高評価や人気が成功につながるという「マタイ効果」が、特に国内市場でさらに強まるとの見方を示している。
一方の国内のオンライン広告収入について、BOCIは2023年に前年比11%増の1兆1,000億元との予測を維持している。中でもメディアプラットフォームの広告が16%増加するとの見方(全体に占める割合は46%)。また、マクロ経済の回復が緩やかなペースとなる中、効率的な広告分配システムやさまざまな広告支援策を持つプラットフォームがシェアを拡大するとみている。
ライブストリーミング部門では規制強化を受けて自主的な調整が進んでおり、機関投資家が懸念しているのはその影響。BOCIはマクロ経済の減速も考慮した上で、快手科技、テンセント・ミュージックなど、複数銘柄の短中期の利益見通しを下方修正した。
ネットセクターにおける選択肢という点では、ユーザー基盤やコンテンツエコシステム、研究開発力と制作力、マネタイズモデル、技術などの点で高い競争力を持ち、独占的な地位にあり、下期以降の持続可能な成長力を有し、配当政策を含めて資金の使途が分かりやすく、かつ株主構成が安定している有力銘柄を選好するとしている。
個別ではテンセント、ネットイースの順で有望視しているが、うちテンセントに関しては、可視性が高くかつ持続的な収益見通しを考えれば、リスク・リワードの点から魅力的であるとの見方。ネットイースに関してはイノベーションというプラスアルファの部分を高く評価。短中期的には国内のモバイルゲームビジネス、2026年以降は自社開発のゲーム機とPCゲームのけん引で、世界のゲーム市場をアウトパフォームするとみている。