FOMCが公表した最新の経済・金利見通し
20日にFOMCが公表した最新のSEP(Summary of Economic Projections:経済・金利見通し)では、FOMC参加者が平均的に経済見通しを上方修正したことが確認されました。図表2で示した概略でみるとおり、2023年の実質GDP(国内総生産)成長率は6月時点での見通し(+1.0%)から+2.1%へ上方修正され、失業率は6月時点見通し(4.1%)から3.8%へ下方修正されました。
FOMC参加者の予想中央値を総括すると「本年の米国経済は景気後退に至らない」と見込んでいることがわかります。
一方、インフレ率の見通し(PCEコアの伸び)は6月時点見通し(3.9%)から3.7%へ下方修正。コアインフレの減速基調を見込んでいます。2023年末の政策金利見通しは6月時点見通し(5.6%)と変わりませんでしたが、2024年末の見通しが6月時点見通し(4.6%)から5.1%へ上方修正されました。
「高金利の長期化」を示唆する金融当局としてのタカ派姿勢を印象付けました。
昨年3月からの利上げサイクルが最終局面に近づいているとの判断に変わりはありませんが、パウエルFRB議長が20日FOMC直後の記者会見で表明したとおり、今後発表される経済・インフレ指標の結果次第で、次回(10月31日~11月1日)もしくは次々回(12月12~13日)のFOMCで追加利上げが決定される可能性は否定できません。
ただ、バイデン民主党政権が来年秋の大統領選挙を前にFRBの過度な利上げ継続に否定的な見解を伝えているとの説もあります。過度の金融引き締めが来年の景気を冷やす影響(オーバーキル)をもたらし、大統領選挙での与党勝利を遠ざけるリスクを警戒しているからと推測されます。
<図表2>FOMCは2024年の政策金利見通しを上方修正した
9月FOMCの米国経済・金利見通し ()内は2023年6月時予想
予想項目:% | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 長期見通し |
---|---|---|---|---|---|
実質GDP成長率 | 2.1 (1.0) |
1.5 (1.1) |
1.8 (1.8) |
1.8 (-) |
1.8 (1.8) |
失業率 | 3.8 (4.1) |
4.1 (4.5) |
4.1 (4.5) |
4.0 (-) |
4.0 (4.0) |
インフレ率 (PCEコア) |
3.7 (3.9) |
2.6 (2.6) |
2.3 (2.2) |
2.0 (-) |
- |
FF金利 | 5.6 (5.6) |
5.1 (4.6) |
3.9 (3.4) |
2.9 (-) |
2.5 (2.5) |
(出所) FOMCより楽天証券経済研究所作成(2023年9月20日) |