2023年10-12月期の新車販売を楽観、政策支援と季節要因で

 中国ではコロナ禍にあった前年同期から一転し、2023年10-12月期には買い手心理の回復と輸出の拡大が乗用車販売の伸びを支える見込み。BOCIによると、当局の新車購入支援策で消費者心理の改善が期待できるという。投資家の関心が集中している銘柄は、国産の独自ブランドを展開する有力メーカーで、BYD(01211)、理想汽車(02015)、小鵬汽車(09868)、蔚来集団(09866)、吉利汽車(00175)、長城汽車(02333)などの顔ぶれ。一方、部品大手のネクスティア(01316)に関して、BOCIは米ビッグスリーの労働争議の行方を見極める必要があるとの見方。また、株価が記録的低水準にあるディーラー銘柄については、大手は高評価に値するとしながらも、短期的には値下げ競争が響くと予想。この先、値引き率が縮小に向かえば、株価の反発が期待できるとしている。

 中国汽車工業協会の新車販売統計を見ると、うち乗用車は8月に前年同月比6.9%増、前月比8.2%増の227万台。1-8月では前年同期比6.7%増の1,560万台だった。これはBOCIの予想を上回る水準。中央・地方当局の購入支援策に加え、メーカー各社の強力な販促活動や輸出の伸び(輸出も新車販売統計に含まれる)が寄与した。一方の商用車販売は8月に前年同月比20%増。コロナ明けの需要増で、1-8月に前年同期比16.4%増だった。

 輸出台数は8月に前年同月比32.1%増、前月比3.9%増の40万8,000台。1-8月は62%増の294万台で、8割強が乗用車だった。8月は新エネルギー車(NEV)の輸出がやや低調で、前年同月比8.1%増、前月比11.2%減の9万台。ICE車(ガソリン車など)の41%増、9.2%増を下回る伸びだった。メーカー別では、「2強」のBYDとテスラが上位。相手国別ではロシアが1-8月の輸出全体の16.7%を占めて最大。メキシコ、ベルギーが続いた。

 一方、乗用車市場信息聯席会の統計では、新エネ車のうち乗用車の販売台数は8月に前年同月比26%増、前月比8%増の79万6,000台(1-8月では前年同期比39%増)。内訳はプラグインハイブリッド(PHEV)が前年同月比74%増、純電気自動車(BEV)が12%増と、引き続き明暗を分けた。個別ではBYDのシェアが前年比6.5ポイント、理想汽車が2ポイント上向き、テスラのシェアも1.3ポイント上昇している。

 BOCIは10-12月期の乗用車販売台数が前年同期比、前期比でいずれも相対的に高い伸びを示すと予想。車両登録枠の追加や補助金制度を含む中央・地方の新たな支援策や、新モデルの相次ぐ投入、前年同期実績の低さを理由に挙げた。半面、業界統合はいまも進行中であり、価格競争が続くと予想。業界全体の収益性の低下が予想される中、製品競争力と交渉力に優れた新エネ車銘柄に目を向けるという選択肢があるとしている。

 また、輸出の急増を理由に、2023年通年の乗用車卸売台数見通しを前年比8%増の2,540万台に上方修正。輸出(395万台を予想)が50%を超えて増加する半面、国内販売は小幅増となる見通しを示している。