FIREの仕方を模索している人へ…

 昨今では、FIREという言葉もすっかり世間に流布するようになりました。私の友人にも最近FIREした人が何人かいます。彼らがFIREした過程には共通点があります。

[1]自分で情報をとりにいく
[2]周囲と異なる行動をためらわない
[3]自分に合う方法を模索する。

 つまり、総じて受け身ではなく主体的であるということです。

 FIREに至った手法は人によってさまざまです。たとえば株式投資。なかでもインデックス投資、高配当株投資、連続増配株投資などに分かれます。

 たとえば不動産投資。なかでも区分マンション、アパート経営、築古戸建てなどに分かれます。

 それぞれ特徴があります。株式投資は投資手腕や入金力がモノを言います。また、インデックス投資ならだれでも平均点がとれます。対して不動産投資は入金力がなくとも借入でレバレッジを利かせて資産形成を加速させられる一方で、物件の目利きが肝になります。

 このように、投資手法や投資対象一つとっても、人によってその特徴が合う・合わないがあります。私はとにかく「収入-支出」を最大化して、毎月高配当株や連続増配株を買って、配当を一気に積み上げていく戦略でした。

 今ではすっかり人気となったこの「配当の積み上げ」という手法は、だれかに教えられたり、本で読んだりしたわけでもなく、FXの失敗から試行錯誤して自分で編み出したものです。そしてブログやSNSで発信し、大きな反響がありました。

 背景には、理論より実践を優先した事情があります。配当を出すと、理論的には配当にかかる税金が発生するため、税負担を先送りできず、現行税制の観点からは効率的ではない可能性があります。

 しかし投資はメンタルが何より重要です。私は過去、FXでメンタルの重要性を痛感し、配当という精神的な支えを重視するに至りました。このように、自分なりの失敗談をもとに、FIRE達成に寄与した投資手法を確立したということです。

 今はSNSの発達などで、コンテンツが大量にあります。達成手法や成功談もあふれています。つまり、異なる成功談を目にするたびに気移りし、「自分の軸がブレやすい環境」とも言えるでしょう。

 しかし、他人の成功手法というものは、所詮その時代に、その人に、適した手法にすぎません。それは私の達成手法にもいえることです。個別事例は一般化できないことも往々にしてあります。

 何が言いたいかというと、自分は自分、他人は他人。個性は異なります。FIREを達成するためには、そしてFIREした後も資産を盤石とするためには、主体性を持ち、あふれる情報をうのみにしないことが、本質的に大切な点だと思います。

 株式投資の利益は我慢料と言われます。2023年に日本株で大きな利益を上げた人は、それまでの米国株が人気を博した時期でも目移りせず、日本株をじっと保有した人たちです。

 盛者必衰。過去のリターンがよいからと思考停止せず、君子豹変、柔軟にしなやかに状況の変化に適応していくことが肝要ではないかと思います。