リオープンで優待人気復活

 個人投資家が株式投資を始めるきっかけで、「株主優待が魅力的」は常に上位を占めています。短期的な株式変動に一喜一憂せず、株主優待を楽しみながらじっくり長期投資できればいいと思います。

 ただし、優待投資とはいっても「株式投資」です。投資した企業の業績が悪化すると、株価が下落します。せっかく優待を得ても、株価が大きく下落しては意味がありません。

 その意味で、2020年に起こったコロナ・ショックは優待投資にとって大きな試練でした。というのは、人気の優待銘柄には、外食・小売り・電鉄・空運・観光業など、コロナ・ショックで業績に重大なダメージを受けた業種に多かったからです。

 コロナによる行動制限は、欧米では2021年から早々と無くなっていきましたが、日本では2022年まで続きました。優待人気銘柄の業績不振が長引きました。

 今年に入り、やっと日本もコロナからのダメージから回復しつつあります。欧米に2年遅れて、やっとリベンジ消費が盛り上がりつつあります。優待人気株にやっと本格的な業績回復を期待できる環境となってきました。

 人気優待銘柄の業績回復を受けて、日本で改めて、優待人気が復活しつつあります。私は、イオン(8267)JR東日本(9020)JR西日本(9021)など、リオープンで業績回復が期待される人気優待銘柄は買い場と判断しています。

 今日は、優待投資を考えている初心者の方のために、「これだけは知っていてほしい」六つのポイントをお伝えします。

株主優待制度は、個人投資家を優遇することを目的としている

 株主優待制度は、個人投資家にとって、とても良い制度だと思います。なぜでしょう。それは、小口で投資する個人投資家を優遇し、大口で投資する機関投資家を冷遇する内容となっているからです。

 買い物をするとき、たくさん買うほど、割引などのメリットを受けやすくなるのが、普通です。そこから連想すると、株主優待制度も、たくさん株を保有している大株主に手厚いと勘違いしてしまいます。

 驚くべきことに、優待制度は、大株主を冷遇し、小口の個人投資家を優遇する内容となっています。そのため、機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数あります。

 どう冷遇しているのか、具体的に見てみましょう。以下は、典型的な優待の一例です。

<A社の優待内容>

 期末の株主名簿に記載されている株主に以下の自社製品を送る。

 上記の優待内容から、100株当たり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表です。

出所:楽天証券が作成

 ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が1,000円で最大です。保有株数が大きい株主は、100株当たりのメリット享受額が小さくなります。

 このように、優待制度は、小額投資の個人株主を優遇する内容となっています。個人株主数を増やしたい上場企業が、優待制度を積極活用して、個人株主にアピールしているわけです。

 小売・外食・食品・サービス業では、個人株主がそのままお客さま(会社の製品やサービスの購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数あります。

 個人投資家には、とてもうれしい制度ですが、大口の機関投資家には、非常におもしろくない制度です。