皆さま、こんにちは! 

 はやくも6月に入りました。春と夏の境目となる6月。沖縄から関東までの各地で梅雨に入り、降水量が多くなります。雨の中でいきいきと咲く美しいアジサイから、元気をもらいましょう!

 6月1日は、国際こどもの日です。中国では学校が休みになり、お祝い行事で子供にプレゼントを贈る習慣もあります。近年では、子供をもつ両親も半日休暇をもらえるようになりました。

 6月21日は二十四節気の一つである「夏至」にあたり、1年でもっとも昼間が長い日です。東京では、冬至と比べて4時間50分も長くなるようです。季節外れのインフルエンザにも十分注意してくださいね!

米債務上限問題への警戒で米国株式相場がまちまちの展開に!

<直近3カ月のS&P500指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 2023年5月の米国株式市場は、ハイテク株が堅調だったものの、米政府の債務上限問題による偶発的な債務不履行(デフォルト)に陥るリスクへの懸念から、高安まちまちな相場展開となっていました。ダウ工業株30種平均指数は前月比▲3.48%と2月ぶりの下落、ナスダック総合指数は同+5.80%と3カ月続伸、S&P500種指数は同+0.25%とプラス圏で終了しました。

 5月から話題になっている米国の「債務上限」とは、何でしょうか。米国では財政規律を守るために、政府が国債発行などで借金できる上限が決められており、その法定上限を引き上げるには、政府が議会承認を得る必要があります。

 上限が引き上げられない場合は国債の新規発行ができなくなるため、米国国債は史上初の債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があります。

 米国国債は信頼性の高い安全資産として知られ、その価格や利回りの変動は世界から注目されており、国内銀行はもちろん、国外の投資家や外国政府も重要な資産運用先として保有しています。

 米国国債のデフォルトは世界の金融市場に大きな混乱を引き起こす恐れがあるほか、3月から銀行破綻が相次ぐ銀行経営をさらに悪化させるなど深刻な事態を招くことになります。

 米国では、過去に何度も債務上限引き上げが政治問題となりましたが、そのたびに上限の引き上げか、適用停止で乗り切ってきました。今回の解決が遅れている理由は、バイデン政権と野党・共和党との対立が続いているからです。

 バイデン政権は無条件に債務上限の引き上げを求める一方、共和党は債務上限を引き上げるとともに厳しい歳出削減を盛り込んだ法案を提案しています。5月27日にようやく基本合意に至り、債務上限の適用は歳出削減などを条件に2025年1月1日まで停止することになり、デフォルトを回避できました。

 もう一つのイベントは、FOMC(米連邦公開市場委員会)による利上げです。5月2日と3日の開催では政策金利の誘導目標を4.75~5.00%から5.00~5.25%へ市場予想通りに引き上げることを決定しました。

 6月13日と14日に開催予定のFOMCについては、底堅い雇用や持ち直しつつある住宅販売といった経済の堅調さを鑑みた追加利上げの可能性も残るものの、市場予想では利上げ見送りとの見方が優勢、年内は据え置きとの見方もあります。

 引き続き、米国の経済指標や経済施策に注目していきましょう!

中国にコロナ「第2波」が迫り、6月にピークを迎える!?

<直近3カ月の香港ハンセン指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 2023年5月の香港株式市場は、米債務上限問題への懸念や中国本土での新型コロナ「第2波」の感染拡大による景気減速懸念、米中関係の不透明感などが嫌気され、相場が大幅に下落しました。

 主要指数である香港ハンセン指数の5月末終値は1万8,234.27ポイント、前月末から8.35%安と半年ぶりの安値、同じく上海総合指数は3,204.56ポイント、前月末から3.57%安となりました。

 5月連休後から、徐々に感染拡大してきた中国本土における新型コロナの「第2波」。新型コロナ対策政府専門家チームのトップを務めた鍾南山氏は5月22日に開かれたフォーラムで、1週間当たりの感染者が5月末に4,000万人、6月末に6,500万人に達し第2波の感染ピークを迎える見通しを述べ、基礎疾患のある人々に注意を呼びかけました。

 ネットでは、2度目の陽性を表す「二陽」という言葉への関心も高まっています。主要都市の病院では、発熱外来を訪れた患者が列を作り、防護服姿の職員らが対応に追われる様子が見られました。ただ、再感染者の多くは症状が軽く、経済や生活に重大な影響はないとの見方もあります。

 中国国家統計局は、5月16日に4月の鉱工業生産などの主要経済指標を発表しましたが、いずれも市場予想から下振れしたことで、景気回復の鈍さが改めて意識されました。5月31日朝方に発表された5月のPMI(製造業購買担当者景気指数)は48.8と市場予想の49.4を下回り、前月実績の49.2からも低下した結果となりました。

 景気拡大と悪化の分かれ目となる50も再び下回り、景気減速を意識した売りが幅広いセクターで膨らみました。中国経済の先行き不安は、引き続き相場の重荷となりそうです。引き続き、新型コロナ「第2波」の影響や中国当局の経済対策に注目していきましょう!

2023年5月の個人投資家に人気だった外国株式銘柄は!?

■2023年5月 米国株式買付金額ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低
購入金額(円)
関連する
テーマ
1 NVDA エヌビディア 54,116 半導体大手
2 TSLA テスラ 30,983 電気自動車
3 SOXL Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF 3,041 レバレッジETF、
半導体
4 SOXS Direxion デイリー 半導体株 ベア 3倍 ETF 1,660 レバレッジETF、
半導体
5 PYPL ペイパル 9,103 電子決済サービス
6 TMF Direxion デイリー 20年超米国債 ブル3倍 ETF 1,098 レバレッジETF、
米国債
7 MSFT マイクロソフト 46,715 ソフトウェア製品大手
8 AMZN アマゾン・ドット・コム 17,725 小売り大手
9 SQ ブロック 9,237 モバイル決済
サービス
10 AAPL アップル 25,089 スマホ、PC
※楽天証券内買付金額ベース。2023年5月1日~5月31日、国内約定日ベース。

■1万円以下で買える米株積立銘柄人気ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低
購入金額
(円)
関連する
テーマ
1 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500
高配当株式ETF
5,113 ETF、
高配当株式
2 EPI ウィズダムツリー インド株収益
ファンド
4,703 インド、
無料ETF
3 KO コカ・コーラ 8,443 飲料大手
4 SOXL Direxion デイリー 半導体株 ブル
3倍 ETF
3,041 レバレッジETF、
半導体
5 QYLD グローバルX NASDAQ100・
カバード・コール ETF
2,486 ETF、
NASDAQ100
6 JEPI JPモルガン・
米国株式・プレミアム・
インカム ETF
7,599 ETF、
インカム
7 T AT&T 2,192 通信大手
8 GLDM SPDR ゴールド・
ミニシェアーズ・トラスト
5,454 ETF、金
9 FM iシェアーズ MSCI フロンティア・
セレクトEM ETF
3,618 ETF、
新興諸国
10 TECL Direxion デイリー テクノロジー株
ブル 3倍 ETF
6,635 レバレッジETF、
テクノロジー株
※楽天証券内米株積立設定人数ベース。2023年5月31日時点。
※株価は2023年6月6日の終値、最低購入金額は1米ドル=140円で試算。
※最低購入金額は手数料を考慮しておりません。

 楽天証券における2023年5月の米国株式買付金額ランキングでトップとなったのは、半導体メーカー大手の「エヌビディア(NVDA)」でした。高い技術力を武器に、ゲームや自動運転、データセンターなど高速で画像処理や演算処理を必要とするGPU(画像処理半導体)の設計分野で圧倒的な存在感を示しています。

 5月24日に発表した2023年2-4月期決算では、売上高は前年同期比13%減の71億9,200万ドルとなったものの、純利益が同26%増の20億4,300万ドルでした。ゲーム用GPUの販売収入が減少しましたが、収益性の高い生成AI(人工知能)向け半導体を含むデータセンター部門の売上高が、ゲーム関連を大きく上回る規模にまで成長しました。

 決算発表後の時間外取引で株価が2割超上がり、一時395ドルを付けました。エヌビディアの株価は6月9日終値段階で今年に入ってから2倍以上に値上がりし、今後の成長に向けた動きとして注目したいです。

 5位にランクインしたのは、米国オンライン決済大手の「ペイパル(PYPL)」です。利用者から販売店や取引先へ支払いを行う際は、ペイパルが仲介するため、取引先にクレジットカードや口座番号を知らせる必要がなく、キャッシュレス時代の安全決済サービスとして注目されています。

 5月8日に2023年1-3月期決算を発表し、売上高は前年同期比9%増の70億4,000万ドル、純利益は同56%増の7億9,500万ドルと市場予想を上回った好決算でしたが、第2四半期の1株利益見通しが予想を下回ったことが売り材料視されたようで、決算発表後の株価は約1割下落しました。

 1万円以下で買える米株積立銘柄において、人気NO.1を獲得したのは引き続き「SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)」でした。少額で安定性のある高配当銘柄へ投資できるのは魅力的ですね。

 ここで注目したいのは、2位と9位にランクインした「ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)」と「iシェアーズ MSCI フロンティア・セレクトEM ETF(FM)」です。インドの人口は、2023年半ばには、中国の14億2,570万人を上回り14億2,860万人と、世界最多となる見通しです。高い実質GDP(国内総生産)成長率や生産年齢人口の低さ、IT大国への発展といった要素が投資の魅力となっています。

 一方、中国やインドよりも市場規模が小さく、流動性が低いフロンティア市場は若い労働力が豊富で、インターネットやスマートフォンの普及率も高く、先進国の技術を積極的に取り入れながら、急速に経済発展しています。世界の資金は相対的に金利が高いところへ流れることから、米国の利上げがひと段落となった場合、再び新興国株が注目される局面も考えられるでしょう。

■2023年5月 中国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低
購入金額(円)
関連する
テーマ
1 1842 植華集団投資控股
(グロウンアップ・グループ・
インベストメント)
11,288 旅行かばん製造
2 9988 阿里巴巴集団控股(アリババ・
グループ・ホールディング)
139,995 ネット通販最大手
3 2800 トラッカー・
ファンド・オブ・ホンコン
164,135 ETF、ハンセン指数
4 700 騰訊控股(テンセント・
ホールディングス)
563,040 インターネットサービス大手
5 2187 智欣集団(ジーシン・グループ) 271,660 コンクリートメーカー
6 2836 iシェアーズS&P
BSEセンセックス・インディア ETF
115,600 ETF、BSE SENSEX指数
7 3988 中国銀行(バンク・オブ・チャイナ) 53,210 金融(銀行)
8 1211 比亜迪(BYD) 2,142,000 自動車・電池メーカー
9 941 中国移動(チャイナ・モバイル) 540,090 携帯電話キャリア最大手
10 810 中国鋳晨81(チャイナ・
キャストソン81・
ファイナンス・カンパニー)
120,360 香港の投資会社
※楽天証券内買付者数ベース。2023年5月1日~5月31日、国内約定日ベース。
※株価は2023年6月6日の終値、最低購入金額は1香港ドル=17円で試算。
※最低購入金額は手数料を考慮しておりません。

 楽天証券における5月中国株式買付者数ランキングでトップとなったのは、前月に続き「グロウンアップ・グループ・インベストメント(1842)」でした。旅行需要の拡大による旅行カバンの受注が好調で、4月下旬から5月17日にかけて4倍弱値上がりしましたが、中国のコロナ「第2波」の影響から5月18日には暴落しました。

 5位にランクインした「ジーシン・グループ(2187)」は、2007年に福建省アモイで創業したコンクリートメーカーです。主力製品はインフラ建設や住宅開発、商業・工業施設の建設などの建設・工事現場で用いる生コンクリートです。

 5月17日に2023年1-3月期決算を発表した「テンセント(0700)」は、売上高が前年同期比10.7%増の1,499億8,600万元、純利益が同10.4%増の258億3,800万元となりました。ゲーム事業の復調や中国経済の回復を背景に決済手数料や広告収入が伸びたことが、増収の背景となっています。

 中国ネット通販大手の「アリババ集団(9988)」は、5月18日大引け後に2023年1-3月期決算を発表。売上高が前年同期比2.0%増の2,082億元と、市場予想から下振れしました。純損益は前年同期の▲162億4,100万元から235億1,600万元へと黒字転換を果たしました。

 業績の振れ幅が大きいケースも多く見られる中国企業。中国全体の景気動向と併せ、各社の収益動向にも注目が集まっていきそうです。