中国の景気動向を見極める上で不可欠。混在する「二つのPMI」
中国の景気動向を測る上で軽視できない指標がPMI、すなわち「製造業購買担当者景気指数」です。中国では二つのPMI指数が混在しているのが実態で、一つが中央政府機関である国家統計局が発表する「PMI」、もう一つが中国を代表する民間の経済・金融メディアである財新(Caixin)が発表している「財新PMI」です。
PMIの調査手法に関しては、企業の購買担当者にアンケート調査を実施し、製造業と非製造業に分けて結果を集計します。算出された数値が節目となる50を上回れば景気は上向き、下回れば景気は悪化していることを示します。
中国で混在する官民二つのPMIの違いを簡単に説明すると、PMIは約4,300社を対象とし、かつ国有企業の比重が高いのが特徴。財新PMIは、調査対象が約650社と、標本の数がPMIには及ばない一方、経済が発展した沿岸部における中小企業のウエートが高い。言い換えれば、景気の上下動に対してより敏感な反応を示す企業を対象としています。
このような背景から、私の実感としては、中国の民間企業や海外の投資家は、中国の景気動向をより真実的に示す数値として、PMIよりも財新PMIを重視する傾向が見て取れます。私自身も、そのようなスタンスで二つのPMIを参考にしています。
ただ、上記であえて「混在」という言葉を使用したように、二つの指標はいずれも中国の景気動向を示す重要なものであり、見る側とすれば、困惑したり、混同したりすることもありますが、両方を参照しながら中国の景気動向を、可能な限り真実的に見極めていく必要があると思っています。