アベノミクスの波に乗って投資額が1.5倍に!

 D氏のユニークな点は、物件を保有する視点で、実不動産の代替投資としてREITファンドを活用した点です。

 実不動産は地元で着実に運用し、守りに徹する。加えて、REITへの投資で、不動産投資における最大のリスクである、売りたいときに売れない実不動産のリスクや、不動産会社の開発事業による収益のブレなどのリスクを軽減。そして、やがて来るチャンスを着実につかんで利益を出す。こうした見識は、さすが代々土地を守ってきた、地主系の富裕層ならではといえます。

 しかも、選択したREITファンドは、当時、ますます市況拡大が期待されていた、首都圏エリアの優良オフィスビルやマンションへ分散投資しているファンド。地元の地価が下がっても首都圏での利益は見込めるなど、エリアも分散してリスク分散している点も卓見です。

 これらのファンドの保有期間は約4~5年。2014年以降、超低金利を背景にREITは大きく価格上昇し、頻繁に金融機関の方から売却を勧められてきましたが、価格の動きだけを見て売却することは、自分の資産運用の本来の目的に沿ったものではないと、一貫して却下。

 そして2017年から2018年にかけて、金利動向や不動産市況の動きを見て、換金が容易なメリットを活かして売却、いったんクローズしました。約5年間で約1.7億円だった投資資産は約1.5倍の2.6億円へ。結果的に年率約10%で運用できた計算です。