まだまだ活用できていない人が多いふるさと納税
皆さんはふるさと納税を活用していますか? 筆者はふるさと納税の制度が創設されてから活用を続けていますが、返礼品の種類も増え、食品類などは正直数が多すぎて選べない状況です。最近は食品のほか、家電用品、寝具、ゴルフグッズ、地元名店の食事券など、ふるさと納税を楽しんでいます。
しかし、今では多くの方がふるさと納税を活用しているのかといえば、意外とまだ使っていない方や、活用しきれていない方も多いようです。
正直、会社員の方が積極的に節税する方法としては、ふるさと納税とiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)くらいしかありませんので、ふるさと納税の基本的な仕組みを知っていただければと思います。
(ふるさと納税は厳密には節税ではありませんが、返礼品により実質的な節税になるという意味としてとらえてください)
ふるさと納税の基本的な仕組み
ふるさと納税は、ご自身の所得の多寡に応じて算出される枠の範囲内であれば、ご自身が住んでいる以外の自治体に自己負担2,000円で寄付をすることができるというものです。
そして、自治体からの返礼品を受け取ることができ、この返礼品と自己負担額の差額が実質的な節税額となります。
返礼品は一時所得として所得税・住民税の課税対象となりますが、一時所得には50万円の特別控除額があるため、ほとんどの方は返戻金には課税されずに済むはずです。
なお、ふるさと納税の適用を受けるためには、原則として確定申告が必要ですが、会社員で確定申告不要な方の場合、一定の要件を満たせばワンストップ特例という形で確定申告せずとも適用を受けることが可能です。
実質2,000円の自己負担で収まる寄付枠の試算は、下記の楽天ふるさと納税のシミュレーターを活用すると便利です。
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ふるさと納税の勘違い・年が明けてからではもう遅い
以前、こんな質問をいただきました。「株式投資で大きな利益が出たが、申告書を作ってみると想定外の税金の額に驚いている。今からふるさと納税で節税できますか?」
この方は源泉徴収なしの特定口座を使っていたので、ご自身で確定申告時期に申告および納税を行わなければいけません。その時にこのようなご質問をされたのです。
しかし残念ながら、年が明けて申告書を作成する時期では、前年の所得についてふるさと納税を適用することができません。
例えば2022年に株式投資で大きな利益を上げたためふるさと納税をしたいのであれば、2022年中(クレジットカード決済なら12月31日まで可能)に行う必要があったのです。
もちろん、2023年に入ってからは、2023年の所得に対してのふるさと納税の適用は受けられますが、もし2022年に突発的な大きな利益が生じた、というケースだと、2023年に入ってからでは残念ながらもう手遅れになってしまいます。
知らないと損するのが税金の世界。基本的なことはしっかり学んで身につけておきましょう。
株式の売却益や配当金は「申告する・しない」の慎重な判断を!
ふるさと納税にて、自己負担2,000円で寄付ができる限度額は、所得金額に応じて異なります。
所得金額が大きいほど限度額も大きくなりますので、株式の売却益や配当金、そして先物・FX・暗号資産の利益などがあればより多額のふるさと納税を自己負担2,000円で行うことができます。
このうち、先物やFX、暗号資産の利益は確定申告が必要です。株式の売却益についても一般口座、源泉徴収なしの特定口座の場合は確定申告が必要なので特段悩む必要がありません。
一方、確定申告することもしないこともできる、上場株式などの配当金、および源泉徴収ありの特定口座での株の売却益については、ふるさと納税の限度額がアップするからといって、何も考えず確定申告することはお勧めしません。
なぜなら、ふるさと納税の限度額がアップする一方、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除が使えなくなったり、国民健康保険料などの負担が大きくなると、ふるさと納税により得られる効果を完全に打ち消し、逆に損をしてしまう可能性があるからです。
ふるさと納税のシミュレーションだけではなく、所得税・住民税のトータルの金額や国民健康保険料のシミュレーションも含め、総合的に判断する必要があります。
おトクをするはずだったのが逆に損してしまった…ということのないよう、十分に気を付けましょう。