銀行不安の中でFRBが決定した金融政策

 米地方銀行の連鎖破綻から飛び火した一連の銀行不安がいったん落ち着く兆しを示したことで、週初の世界株式は底堅さを取り戻しました。スイスの最大手金融機関UBSが19日、クレディ・スイス・グループを救済買収することを決定し、世界の主要中央銀行が協調して流動性供給を強化したことで、国際的な金融危機懸念は封じ込められつつあります。

 一方、市場の関心が高かったFOMC(米連邦公開市場委員会)が21日と22日に開催され、FRB(米連邦準備制度理事会)は0.25%の追加利上げを決定。政策金利の指標であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標は4.75~5.0%に引き上げられました。大方の市場予想に沿う金融政策で、2会合連続での小幅利上げとなりました。

 パウエルFRB議長は直後の記者会見で、「われわれは物価安定の回復にコミットしている」と発言。「米国の銀行システムは健全かつ強靱(きょうじん)だ」と強調。「必要に応じて一段と金利を引き上げる用意がある」と述べ、ややタカ派的な印象を与えました。

 同日にイエレン米財務長官が上院小委員会の公聴会で「預金の全面的な保険や保証に関することを、私は検討したり議論したりしていない」と証言したことも不安視して株価は下落しました。

 図表1は、米国株(S&P500種指数)、政策金利(FF金利の誘導目標上限)、短期債金利(2年国債利回り)、長期債金利(10年国債利回り)の推移を示したものです。銀行不安、ディスインフレ(インフレ沈静化)、景気の鈍化観測を受け、債券金利は政策金利を下回り低下(価格は上昇)しています。

<図表1>FRBはFOMCで0.25%の利上げを決定した

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2022年3月初~2023年3月22日)