3 ケーズホールディングス(8282・東証プライム)

 家電量販店大手の一角です。デンコードー、ギガスなどを子会社にも抱えています。北関東を地盤に2023年1月末で546店舗を全国で展開しています。家電の取り扱いに特化していること、小さな本社などローコスト経営を行っていることから、家電量販店業界内においては、収益性の高さが特徴となります。

「がんばらない経営」を事業コンセプトとしています。自社株買いを積極的に実施しており、足元では2023年3月期まで5期連続で実施しています。

 2023年3月期第3四半期累計営業利益は221億円で前年同期比29.3%減となっています。東京五輪でのテレビの買い替え需要の一巡、夏季商戦最盛期の気温低下によるエアコン販売の伸び悩みなどが影響しました。水道光熱費などの販売管理費の増加も響いたようです。

 2023年3月期通期では340億円、前期比18.6%減の見通しとなっています。電気代の値上げなどにより、水道光熱費の増加見通しなどを引き上げているようです。なお、年間配当金は前期比1円増の44円を計画しています。

 第3四半期決算と同時に発表した自社株買いの実施発表がサプライズとなりました。発行済み株式数の5.24%に当たる1,000万株、100億円を上限とする自己株式取得を実施、取得期間は2月2日~4月30日と短期間であり、需給インパクトへの期待が高まっています。

 配当額と自社株買いの合計額が純利益に占める割合を表す総還元性向は、2023年3月期は58.6%になる予想です。今期予想も含めた最近5年は50%超の高水準で推移し、その内100%超の年もあるなど、株主還元姿勢には好感が持てます。また、今年の賃上げ幅が大きくなれば、個人消費の拡大につながるとみられることで、2024年3月期業績の下支え材料になるでしょう。

4 コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(2579・東証プライム)

 2017年4月1日、コカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの経営統合により発足しました。日本のコカ・コーラシステムの約9割の販売量を担っている国内最大のコカ・コーラボトラーです。日本国内1都2府35県が営業地域です。

 コカ・コーラボトラーは世界に225以上ありますが、売上高はアジア最大級で、世界でも有数の規模を誇っています。販売カテゴリーは、炭酸系のほか、茶系やコーヒーが主力となっています。

 2022年12月期営業損益は115億円の赤字で、前期(209億円の赤字)から約95億円の損益改善となりました。ペットボトルやアルミ缶などの原材料価格の上昇、円安などが重しとなっていますが、販売数量が3%程度伸びたほか、価格改定などによって収益性は改善に向かっています。

 2023年12月期は53億円の赤字見通しとしており、引き続き赤字幅は縮小の方向です。材料費上昇のマイナス影響は続く見込みですが、価格改定を軸とした収益基盤の改善を見込んでいます。なお、前期実績、今期計画ともに年間配当金は50円を計画しています。

 ペットボトルやアルミなどの原材料はドル建てで輸入されており、一方で国内販売主体であるため、為替の円高反転は収益の追い風となります。2023年はコロナ禍からの経済正常化が一段と進むため、とりわけ、シーズンとなる夏場にかけて需要の盛り上がりも期待されるところです。

 5月1日からは25年ぶりとなるコーラなどの缶製品の値上げを計画していますが、需要増が見込める中で値上げ後も順調な販売が期待できるでしょう。

5 王子ホールディングス(3861・東証プライム)

 製紙業界における国内トップ企業です。段ボール、紙器、紙袋などの包装資材を製造販売する産業資材・生活消費財ビジネス、感熱記録媒体や食品・飲料ラベルなどを手掛ける機能材ビジネス、パルプや再生可能エネルギーなどを手掛ける資源環境ビジネス、新聞用紙や情報用紙などの印刷情報メディアビジネスと、四つのセグメントで事業展開しています。

 2025年3月期の経営数値目標として、営業利益1,500億円以上などを掲げています。

 2023年3月期第3四半期累計営業利益は595億円で前年同期比37.5%減益となりました。需要の回復やパルプ市況の上昇などはプラス要因となりましたが、原燃料価格高騰の影響が収益に響く形になりました。生活産業資材、印刷情報メディアの事業が大きく悪化しています。

 一方、2023年3月期通期営業利益は1,050億円で前期比12.6%減の見通しです。先の2セグメントの国内事業が足を引っ張る見通しとなっています。なお、年間配当金は前期比2円増の16円を計画しています。

 原料の木材チップや石炭などをドル建てで輸入していることから、紙パルプセクターは代表的な円高メリット銘柄と位置付けられています。また、急騰した石炭価格の反動安なども想定されるため、2024年3月期の収益回復期待は高いと考えられます。

 森林資源を活用した素材やエネルギー関連ビジネス、植林の拡大による二酸化炭素(CO2)吸収量の増加など、サスティナビリティへの取り組みにも今後は評価が高まっていくとみられます。市場でのテーマ性が強い植物由来の新素材セルロースナノファイバーの展開力なども注目されます。