解散価値といわれるPBR1倍を大きく割り込む銘柄が増えている

 不動産セクターには、業績が堅調で、巨額の含み益を有しているにもかかわらず、株価が上がらないため、株価が、解散価値といわれるPBR(株価純資産倍率)1倍を割れる銘柄が多数あります。

 賃貸不動産に大きな含み益があるのは、不動産会社ばかりではありません。電鉄・倉庫など、さまざまな業種に「含み資産株」があります。

 直近の決算期末で、賃貸不動産の含み益が1,200億円を超えている31社は以下の通りです。

<賃貸不動産に含み益1,200億円以上を有する31社

コード 銘柄名 産業分類 含み益
(億円)
8802 三菱地所 不動産 4兆5,733
8830 住友不動産 不動産 3兆4,950
8801 三井不動産 不動産 3兆303
9020 JR東日本 電鉄 1兆5,784
9432 NTT 情報通信 1兆3,617
9042 阪急阪神 電鉄 5,308
8804 東京建物 不動産 5,147
9005 東急 電鉄 5,063
8267 イオン 小売 5,028
9021 JR西日本 電鉄 4,283
9531 東京瓦斯 ガス 4,253
9602 東宝 サービス 4,117
3003 ヒューリック 不動産 3,646
8905 イオンモール 不動産 3,160
3289 東急不HD 不動産 2,741
9301 三菱倉庫 倉庫 2,641
3231 野村不HD 不動産 2,450
9104 商船三井 海運 2,433
1802 大林組 建設 2,275
9401 TBSHD 情報通信 2,229
1812 鹿島建設 建設 2,170
1803 清水建設 建設 2,057
9706 空港ビル 不動産 2,035
7013 IHI 機械 1,979
9006 京浜急行 電鉄 1,881
2501 サッポロHD 小売 1,797
9003 相鉄HD 電鉄 1,497
9147 NXHD 陸運 1,388
9045 京阪HD 電鉄 1,282
9007 小田急電鉄 電鉄 1,250
9302 三井倉庫HD 倉庫 1,215
出所:各社、開示されている最新の期末有価証券報告書または決算短信より、楽天証券経済研究所が作成。
東京建物・ヒューリック・サッポロHDは2021年12月期、イオン・東宝・イオンモールは2022年2月期、その他は2022年3月期、NXHDは統合前の日本通運のデータを使用

 このような含み資産株には、含み益を考慮した実質PBRが1倍を大きく割れる銘柄が多数あります。実質PBRについては、後段で説明します。まずは、銘柄データをご覧ください。

<実質PBRが0.7倍未満の24銘柄(繊維業を除く):実質PBRが低い順に配置>

コード 銘柄名 含み益
(億円)
実質PBR
(倍)
9401 TBS HD 2,229 0.29
9324 安田倉庫 283 0.31
9304 渋沢倉庫 609 0.35
8841 テーオーシー 1,105 0.35
8830 住友不動産 3兆4,950 0.37
8864 空港施設 253 0.39
8804 東京建物 5,147 0.41
8802 三菱地所 4兆5,733 0.42
8818 京阪神ビル 793 0.47
8801 三井不動産 3兆303 0.48
9301 三菱倉庫 2,641 0.49
5901 洋缶HD 1,119 0.50
5233 太平洋セメント 603 0.55
3289 東急不動産HD 2,741 0.56
1803 清水建設 2,057 0.60
9302 三井倉庫HD 1,215 0.62
3105 日清紡HD 146 0.62
1802 大林組 2,275 0.64
8905 イオンモール 3,160 0.64
5019 出光興産 59 0.65
9119 飯野海運 1,101 0.66
3231 野村不動産HD 2,450 0.68
9532 大阪瓦斯 745 0.68
9303 住友倉庫 670 0.69
出所:各社、直近決算期の有価証券報告書または決算短信より、楽天証券経済研究所が作成。
実質PBRは、2月21日の時価総額を実質純資産で割って計算。実質純資産は、各社の純資産に賃貸不動産含み益の7割を加えたもの

 まったく不人気となってしまった「含み資産」株ですが、実質PBRが低すぎる銘柄は、いつか見直されることを期待して、少し買ってみても良いと思っています。安田倉庫(9324)住友不動産(8830)三菱地所(8802)三井不動産(8801)イオンモール(8905)などに注目しています。