3 ノエビアホールディングス(4928・東証プライム)

 化粧品の販売を主力事業としています。販売代理店や直営店での対面販売、通信販売で展開し、「なめらか本舗」「ノエビア」、「エクセル」、「ノブ」などが主要ブランドとなっています。また、化粧品OEMの受託製造も手掛けています。

 化粧品のほか、医薬・食品事業も行っており、「南天のど飴」「眠眠打破」などをドラッグストア中心に販売しています。北海道の自社農場で有機栽培した植物「メドウスイート」が、真皮の老化細胞を選択的に除去することを発見しています。

 2022年9月期営業利益は101億円で実質前期比16.3%増となりました。「なめらか本舗」、「ノブ」などのセルフ化粧品の販売が好調でした。2023年9月期営業利益は107億円で前期比5.8%増の見通しです。

 経済活動の一段の正常化に伴い、対面販売を主体とするカウンセリング化粧品の販売伸長が想定されるほか、広告・宣伝費などの抑制も寄与する見通しです。年間配当金は2022年9月期が前期比5円増の215円配、2023年9月期は同水準を計画していますが、安定した増配傾向が続いていることで、上振れの可能性も十分とみられます。

 岸田首相は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、この春に季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げると表明しています。マスク着用の考え方や感染対策の在り方、感染者や濃厚接触者の外出自粛についても見直すとしています。

 こうした経済活動の正常化でメリットが大きいとみられるのが化粧品業界でしょう。マスクを外す機会が大幅に増加することで、これまで抑制された化粧品需要は一気に表面化する可能性があるほか、水際対策の緩和によるインバウンド需要も、化粧品に関しては大いに期待できます。

4 東京エネシス(1945・東証プライム)

 筆頭株主である東京電力関連の受注を主体とする建設工事会社です。火力発電所や原子力発電所のメンテナンスなど電力関連分野のウエートが高いとみられます。水力発電所、バイオマス発電所、コージェネレーションシステムなどへの取り組みも活発化させています。

 2020年には大型火力発電所のO&M(運転および保守点検)事業も本格的に開始しました。福島第一原発の廃炉作業支援のため、遠隔操作機器ロボットの開発も進めています。

 2023年3月期第2四半期累計営業利益は14億円で前年同期の約8倍の水準となっています。休止火力の再稼働対応を含む火力発電所の保守工事や大型建設工事の増加、公営水力のリニューアル工事、都市再開発事業における受変電設備設置工事の進捗などを背景に、売上高が大きく拡大しました。手持ち工事高も前年同期比10%増の水準にあります。

 通期計画の32億円、前期比1.3%増は据え置いていますが、上半期の利益水準からみて大幅な上振れが想定されます。5円の記念配当を実施するとして、年間配当金は前期比5円増の35円計画に引き上げています。

 岸田政権では原発政策を大転換し、原発再稼働の推進、原発の新増設、老朽化した原発の運転期間制限の撤廃とさらなる延長、新型原子炉の開発促進などを進める方向となっています。原発分野のウエートが高い同社にはメリットが大きいとみられ、とりわけ、運転期間制限の延長などはメンテナンス需要の拡大に直結すると考えられます。

 また、東京電力では電気料金の転換を申請しており、今後の収益回復も見込まれるため、設備工事への投資拡大につながっていく可能性も高いでしょう。

5 ベネッセホールディングス(9783・東証プライム)

 幼児から高校生を対象とした通信教育サービスを提供、「進研ゼミ」が主軸です。子どもの発達段階に合わせた独自の教育サービス「こどもちゃれんじ」は国内のほか、中国・台湾で展開しています。

 また、介護・保育サービスも提供、都市部の住宅地を中心に343拠点(2022年3月末現在)の高齢者向け住宅、首都圏中心に保育園65拠点と学童施設34拠点(同)も運営しています。2022年2月に、英会話教室を運営するベルリッツの全株式を譲渡しました。

 2023年3月期第2四半期累計営業利益は106億円で前年同期比18.1%減となりました。国内教育事業が堅調であったほか、ベルリッツの売却も収益改善に寄与しましたが、幼児向け事業や介護・保育事業が新型コロナウイルスの影響で減益となりました。

 通期計画は215億円で前期比6.6%増の見通し、従来計画の250億円からは下方修正しています。ロックダウン(都市封鎖)政策による中国の「こどもちゃれんじ」減少が主因です。なお、年間配当金は前期比10円増の60円計画を据え置いています。

 岸田首相は子ども・子育て政策を「最重要政策」と位置付けており、6月の骨太方針策定までに子ども・子育て予算の倍増に向けた大枠を提示することを明らかにしています。

 出産育児一時金の増額や児童手当の拡充などが検討されており、今後の出産意欲の拡大につながるものとみられます。保育園や学童施設の運営面でメリットが期待されるほか、子どもの教育費支出の回復も想定されることで、「こどもちゃれんじ」、さらには「進研ゼミ」の需要増表面化にもつながっていきそうです。