消費者物価指数

 1月12日(木)に米国の12月のCPI(消費者物価指数)が発表されます。コンセンサス予想は前年同月比+6.5%です。
 
 過去1年ほどの間、消費者物価指数は市場参加者が最も気にする経済統計となっています。幸いなことに米国のインフレは2022年6月をピークとして着実に鈍化してきています。

 当初はインフレの鎮静化に懐疑的なエコノミストが多かったので消費者物価指数発表前の事前コンセンサス予想は悲観的、つまり比較的高い数字が多かったです。

 しかし度重なるポジティブ・サプライズを受けて今回のコンセンサス予想は+6.5%と逆に楽観的になっています。

 そのことは木曜日の発表がコンセンサスより大きな数字、つまり悪い数字で入ってくるリスクが普段より高いことを示唆しています。仮にコンセンサス通り、もしくはコンセンサスより低い数字だった場合でも市場はそれに熱狂的に反応しないかも知れません。

趨勢としてインフレ鎮静化は間違いない

 その場合でも、趨勢としてインフレが鎮静化に向かっていることは間違いありません。つまりFRB(米連邦準備制度理事会)がひっちゃきになって政策金利を引き上げなければいけない局面は既に去ったと見るべきでしょう。

 実際、FRBは米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートの引き上げ幅を0.75%→0.50%→0.25%という風にだんだん縮小中です。

 次のFOMC(米連邦公開市場委員会)は2月1日ですが、0.25%の利上げ幅になると思われます。

 そしてその次の3月22日のFOMCでも0.25%の利上げを行い、それをもって利上げは終了というのが市場参加者の考えているメインシナリオです。

 その場合、フェデラルファンズ・レートは4.75%~5.00%のレンジになります。これがターミナル・レート、すなわち最終的な政策金利の頂上だと考えられるわけです。

 これは前回のFOMCの経済予想サマリーで示された5.10%というFRBメンバーによるコンセンサス予想より若干低い数字です。

 言い直せば今はFRBメンバーより市場参加者の方がインフレに関して楽観的な見通しを持っているということです。

 ここ数年、FRBは市場の後追いをしており、市場参加者の方が正しかったことを考えれば、今回もそうなる可能性を排除できないと思います。

株式市場への取り組み方

 さて、市中金利がようやくピークアウトの様相を見せてきたということは株式の投資ストラテジーにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

 いま金利と株式バリュエーションはシーソーの関係にあると言われています。つまり金利が上がれば株式バリュエーションは下がるわけです。実際、2022年の米国株は金利上昇にずっと苦しみました。

 今年はその長くて辛い金利上昇がそろそろ終わりに近づいているため、去年よりは楽な展開が予想されます。

 言い直せは株式に対して積極姿勢で臨むべきだということです。

 S&P500種指数の2022年12月30日の引け値は3839.50でした。私は今年の年末のS&P500のターゲットとして4377.00を予想しています。これは+14%です。

 その根拠ですが、まず2023年のS&P500一株当り利益は226ドルを予想します。これは前年比+2.7%という低い利益成長です。それに19.36倍のPER(株価収益率)を当てはめました。現在のPERは16.5倍なので19.36倍というのは若干のマルチプル・エクスパンション(=PERの拡大)を予想しているということです。

 マルチプル・エクスパンションが起きると予想する理由は長期金利の低下です。2023年末の10年債利回りは2.9%を予想します。