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 2022年の「今年の漢字」は「戦」でした。「戦」には、ロシアのウクライナ侵攻という「戦」争や、その影響で高騰した物価やコロナ禍との「戦」いという暗い面がある一方、サッカーW杯や冬季五輪の熱「戦」、大谷翔平選手や村上宗隆選手の記録への挑「戦」という前向きな意味があります。景気の明暗が分かれる背景が映し出された形ですが、『2023年の日本経済』はどうなるのでしょうか? 弊社チーフエコノミストの宅森昭吉に聞きました!

【ポイント1】2023年の株価は、相場格言の「卯は跳ねる」となるか

「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」という十二支と株価との関係を表す格言があります。1951年から2022年のデータで、日経平均株価の前年比の平均をみると、丑年+0.8%と寅年+1.5%は低い伸び率ですが、卯年は+16.4%と辰年、子年、亥年に次いで4番目に高い伸び率の干支となっています。2023年の卯年も、過去平均並みの2桁の株価上昇が期待されます。

【ポイント2】侍ジャパンの活躍が日本中を元気づけ、株価押し上げにも貢献するか

 3月に大谷選手やダルビッシュ有選手が参加予定のWBCが開催されることも、春の株価の上昇要因になる可能性が大きいと考えます。過去4回の大会を見ると、日本が優勝した第1回・第2回では、優勝を決めた決勝戦当日の日経平均(終値、以下同)は、開幕直前に比べて、第1回は+832円、第2回は+1,054円の上昇となりました。第3回と第4回は準決勝敗退となりましたが、開幕直前から準決勝直前までで、日経平均はおのおの+955円、+112円の上昇となりました。テレビ中継が高視聴率の侍ジャパンの試合は、日本中を元気づけ、株価押し上げにも貢献する傾向があるようです。

【今後の展開】2023年の国内景気は緩やかながらも景気回復局面が継続するか

「ESPフォーキャスト調査」の2022年12月調査によると、2023年度の実質GDP(国内総生産)の予測平均値は+1.07%でした。新型コロナウイルスの感染拡大により▲4.1%と大幅減だった2020年度から増加に転じ、2021年度+2.5%、2022年度(予測平均値)+1.65%に続き、3年連続のプラス成長になると予測されています。2020年5月の谷の次の景気転換点(山)はもう過ぎたかという設問では、全員が「過ぎていない」と回答しています。2023年の国内景気は、悪材料を乗り越えて、緩やかながらも景気回復局面が継続する可能性が大きいと思われます。2023年の日本株には、民需の底堅さを反映する企業業績などがプラス要因に働きそうです。