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資産所得倍増プラン進む公算大、岸田政権支持率低下でも

「日本経済はこれからも力強く成長を続ける。安心して日本に投資してほしい。Invest In Kishidaです」岸田文雄首相が世界の金融街ロンドン・シティーで講演を行ったのは今年5月でした。

 講演で強調されたことの一つに「資産所得倍増プラン」があります。発言の中身をみてみましょう。

「重要なストック面での人への投資が、貯蓄から投資です。我が国個人の金融資産は2,000兆円と言われていますが、その半分以上が預金・現金で保有されています。この結果、この20年間で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません。ここに日本の大きなポテンシャルがあります」(首相官邸HPより)

「貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現いたします。そのために、NISA(ニーサ:小額投資非課税制度)の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員して『資産所得倍増プラン』を進めていきます」(同)

 こうした文言をみてもかなり強い意欲であることが分かります。貯蓄から投資への流れを促す上で重要視されているNISAの拡充も焦点で、年内にまとめるとしている「資産所得倍増プラン」の柱となる公算が大きいです。

 金融庁は2023年度の税制改正要望で、対象年齢や投資方法などに応じて3種類あるNISAの制度を長期の分散投資に適した「つみたてNISA」を基本としつつ、制度の恒久化や年間投資枠、累計の非課税限度額の拡大を求めています。

 これら政策の実行性については、それを標榜した政権が長期政権になるかどうかという視点を忘れてはいけないように思います。

 考え方はシンプルで、1年しかもたない短命政権では政策の実行が限定的となり、3年以上続く長期政権では実行性が高くなるというものです。

 山際大志郎前経済再生担当相が10月24日に特定宗教団体との関係をめぐる問題で辞任したのを皮切りに、葉梨康弘前法相が「死刑のハンコ」の失言で交代、さらに「政治とカネ問題」で野党の追及を受けてきた寺田稔前総務相も事実上更迭されました。

 わずか1カ月で3人の閣僚が次々と辞任に追い込まれ、岸田政権の支持率は低迷しています。直近のマスコミの世論調査では支持率が30%程度のものが多いです。

 与党・自民党においては「現総裁(=首相)では選挙に負けそうだ」と多くの所属議員が考えたときに、派閥間の駆け引きが風雲急を告げるきっかけになるのが過去の経緯です。

 ただ、こうした中にあっても自民党内で「岸田おろし」の動きはみられません。2025年まで大きな国政選挙の予定がないことが要因と思われます。

 この視点からは岸田首相が急に交代することは想定されず、支持率の低下とは関係なくNISA拡充などの政策は進むという見方が導かれます。