10月のCPIとPPIはインフレの峠越えを示唆した
10日に発表されたCPIの前年同月比の伸びは+7.7%、エネルギーや食料品を除くコアCPIの伸びは+6.3%と、それぞれの前月実績や市場予想平均を下回りました。
また、15日に発表されたPPIも伸び率が鈍化しました(図表2)。
インフレ率のピークアウト(峠越え)を感じ取った市場参加者は、株式買い(買い戻し)で反応しました。特に債券市場では、長期債金利(10年国債利回り)が3.7%まで低下しました(16日)。
CPIについては、9月実績の発表まで「CPIショック」と呼ばれるなど、インフレの高止まりや伸び率の拡大を示すことが多く、債券や株式の下落要因となることがありました。
10月のインフレ率鈍化は、ポジティブ・サプライズとも呼ぶべき好材料になったと言えます。
<図表2>10月のCPIはインフレの峠越えを示唆した
こうして、インフレ指標の伸びが落ち着いたことにより、市場参加者による先行きの政策金利見通しも変化しています。
図表3は、先物市場における今後予定されているFOMCごとのFF金利予想を示したものです。直近の政策金利見通しが、前回FOMC直後時点と比較すると「下振れ」していることがわかります。
つまり、次回FOMC(12月13~14日)での利上げ予想幅は0.5%と、前回FOMCでの利上げ幅(0.75%)から縮小。
来年前半のターミナルレート(利上げ到達点)も下方修正され、来年後半に利下げが実施される見通しも高まったということです。
FRB(米連邦準備制度理事会)によるピボットを意識するに従い、半年から1年先程度を先読みする株式市場は、マクロ環境が厳しさを増す中でも「不景気の株高」を視野に入れる可能性があると考えています。