消費者物価指数

 11月10日(木)、10月の消費者物価指数が発表され、予想+8.0%に対し+7.7%でした。

 上のチャートからも明らかな通り、6月をピークとしてインフレは沈静化の方向へ向かっています。

 このことは先のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文でシグナルされた通り、FRB(米連邦準備制度理事会)は徐々に政策金利の利上げ幅をテーパリングして良いことを示唆しています。

 これまで4回連続して0.75%という大幅な利上げが繰り返されたわけですが、次回、12月14日のFOMCでは利上げ幅が0.50%に絞り込まれるのはほぼ間違いありません。

株式市場への含蓄

 さて、FRBが利上げ幅をテーパリング開始すれば株式市場はこれを好感すると思います。それというのも株式バリュエーションと金利はシーソーの関係にあり、金利が上昇しているときは株式バリュエーションは下落するからです。つまり金利上昇は株式市場に悪いのです。

 利上げ幅が0.75%刻みから0.50%刻みに縮小されるということは、ほんの小さな第一歩にすぎません。従ってこれで安全圏に逃げ切ったと考えるべきではありません。しかし今回初めてインフレ面で好感すべきニュースが入ってきたということは市場のセンチメント好転に決定的に重要な転換点です。

 もちろん今後も傾向としてだんだんインフレが鎮静化することが望ましいです。

 目先の目標として11月末のS&P500種指数のターゲットは4,100、今年年末は4,200あたりを予想しています。

中間選挙

 一方、中間選挙はこれを書いている11月10日(木)の時点でまだ開票結果は確定していません。しかし下院は共和党が過半数を獲得する可能性が大です。一方上院はジョージア州の2議席に関し得票がとても接近していたので12月に仕切り直しの決選投票が行われます。つまり来月まで結果はお預けということです。

 いずれにせよこれで大統領は民主党、下院は共和党という「ねじれ」状況が成立したと考えてほぼ間違いありません。

 株式市場の参加者は「ねじれ」の状態が大好きです。実際、「大統領が民主党で議会が共和党」という組み合わせは1949年から2021年までの期間で平均してS&P500種指数の上昇幅が年率+16.4%であり、もっとも株にとって有利なコンビネーションです。ちなみにその期間の平均上げ幅は年率+8.7%でした。

 このことから今年の残り1カ月余りの相場が高いであろうことに加えて2023年も堅調なマーケットが予想できるのです。

新しいブルマーケットの誕生

 言い直せば2022年の9月末を大底として米国株は新しいブルマーケット(強気相場)に突入したと考えて良いと思います。いまシリコンバレーでは相次いで大型のリストラが発表されています。つまりクリスマスを前に給与水準の高い労働者がどんどん解雇されているのです。そのことは景気が今後一層悪くなることを示唆しています。

 逆説的ですが、景気が悪くなればなるほど株にとってはプラスです。「悪いニュースは、良いニュース」ということです。

 その理由は不景気になればなるほどインフレは沈静化する可能性が高いですしFRBも利上げの手を止める必要に迫られるからです。

投資戦略の見直し

 そこで投資戦略ですが投資を始めて間もない人は全米株式型、ないしは全世界株式型の投資信託が良いと思います。つまり「アメリカをまるごと買う」、「世界をまるごと買う」ファンドということです。

 個別株や特定のセクターで勝負したい気はやまやまなのですが、いまはシリコンバレーが冷え切っている関係でこれからも決算面では下ブレが相次ぐと予想されます。だから個別株やハイテク・オンリーの戦略はお勧めしません。

 新しいブルマーケットでは、新しい投資対象が注目されるのが常です。手あかのつきまくったネット株やハイテク株より、じゅうぶんに日柄調整が終わっている新興国株などを加えるのがオシャレなやり方だと思います。