今日の為替ウォーキング

今日の一言

何も質問しない人は、何でも知っているか、何も知らないかのどちらかだ – フォーブス

Boys Are Back In Town

「急速な円安の進行は好ましくない」と黒田日銀は繰り返し発言しているが、本当に円安を止めたいのなら、その根本の原因である日銀の政策を引き締め方向へ修正すればよいことである。

 ところが日銀は逆に、長期金利の上昇を徹底的に抑えるための買いオペを増額して実施している。円安を煽るつもりはないだろうが、少なくとも円安を止める気がないと受け取られても仕方がない。

 日銀は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」政策を導入して以来、9年以上も異次元緩和続けているが、金融部門がその効果のほぼすべてを吸収し、実体経済の支援にはなっていない。低金利も、新規ビジネスの支援よりも、ゾンビ企業の延命に利用されているとの批判がある。日本企業の1/4は、緩和政策の即時終了を希望しているとの調査もあるのに、日銀が大規模金融緩和を続ける理由は何か。

 それは「金融抑圧」ではないか。金融抑圧とは、インフレと低金利を組み合わせることによって、政府の債務を非常に低い金利でファイナンスし、究極的には膨張した政府の借金の棒引きを図ることを目的とする政策である。

 インフレはモノの値段が上がることだが、相対的に円の価値が下がるということでもある。借金をしている人(政府)は、インフレになれば返済するお金が少なくなる。お金の貸し手側(投資家や預金者)から見ると、受け取るお金の価値が減るのだ。しかし、その分金利上昇による運用益(利息)が増えるため、市場原理が正常に機能している市場においては、プラスマイナス・ゼロになる。

 しかし、日銀が人為的に国債利回りを低く抑えつつ、インフレを発生させることによって、借金をしている政府は、低利息で利払いを軽減させながら、お金の価値の減少させることによって債務残高を縮小することが可能になる。インフレ率を2%以上にして、国債金利を0.25%に固定する状況を安定的に達成できたなら、日本政府の借金は30年後に実質的には半分近くまで減少するとの計算がある。これが日銀緩和政策の目標ではないか。

 金融抑圧は、借金を抱える政府にとっては、増税や歳出削減など痛みを伴う改革を行わずに済ませることができて良いことづくめだ。そのしわ寄せを受けるのは貸し手(国民)である。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成