機関投資家はアンチ株主優待

 筆者が、株主優待に対して「アンチ」である主な理由は、株主優待が機関投資家にとって不都合で何らかのロスが生じる仕組みだからだ。

 写真は、国家公務員の年金を運用する国家公務員共済組合連合会の「平成29年度 業務概況書」の52ページにある記述だ。

 国家公務員共済組合連合会は国家公務員の年金を運用しているが、年金資産による投資を通じて保有する株式から生じる株主優待券は、資産を管理する信託銀行によって、チケットの買い取り屋などに持ち込み換金して、ファンド資産に繰り入れたり、換金できないものについては、寄付をしたり、といった処理が行われる。前者では買い取りなどの際にコストが発生するし、後者では寄付の行為が感謝されるとしても、年金資産の運用としては明らかな無駄が発生する。

 こうした機関投資家にとっての株主優待の不都合は、大半の外国人投資家にとっても発生するし、インデックス・ファンドなどを含む投資信託の投資家にとっても発生しているはずなのだ。

「投信投資家の皆さんは、株主優待があることで損をしています」ということは、この際申し上げておきたい。

 株主優待は、これが有益な株主と、そうではない株主とを発生させる。株主を平等に扱わない点が、株主優待の最大の問題点であると筆者は考える。