日銀が過去最大の円買い介入を実施
日本銀行(財務省)が断続的な円買い介入に動いている。日銀が10月21日に約5兆3,800億~5兆4,800億円の円買い介入を行ったとの推計が出ているが、円買い介入としては過去最大規模となる。
昨日10月24日の朝の市場ではドル/円が149円台後半から、一時145円56銭まで急落し、日銀は連日の円買い介入を行ったようだ。
ドル/円(15分足)と日銀介入
神田真人財務官は、「24時間365日、いつでも、どこでも、市場を監視し、必要な対応を行う体制を整えています」と、今週月曜日に記者団に語った。
日銀の介入は、9月の最初の介入以来うまくいっていない。ドル/円相場が円高になる条件は、
1.日本が金利を上げる
2.米国が金利を下げる
3.株が暴落する
といういずれかの条件が必要となる。
10月24日のゼロヘッジの記事、『日銀は500億ドルを無駄に使ったのか』によると、先週金曜日の介入は9月の介入を上回る規模になっている。
9月の円買い介入を上回るボリュームとなっている
しかし、市場関係者は一様に日銀の介入効果を疑問視していて、「日本が金利を上げない限り翌日には介入効果が消え去る」と述べている。
9月22日に行われた介入(上昇:円高・下落:円安)
10月13日の介入(上昇:円高・下落:円安)
10月18日の介入(上昇:円高・下落:円安)
ゼロヘッジの記事は、「狂気の定義は、同じことをもう一度試みて、別の結果を期待することだとアインシュタインは言ったのではありませんか?日本の政策立案者は、多くの市場参加者が彼らの極端な行動について長い間信じていたこと(単独介入は効果がない)を確認したようです」と、結んでいる。
何度も申し上げているように、過去の介入をみると、日銀の円買い介入は円の下落を止めることができなかっただけでなく、介入後はさらに大きな下落に見舞われている。日銀の単独介入の答えはもう出ているのである。
日銀の円買い介入とドル/円相場(1997~1999年)
ラジオやTwitterなどでご案内の通り、FRB(米連邦準備制度理事会)のインフレファイトの腰砕け観測からドルの上値も重くなってきている。
ミスター米国債(時の権力者の意向を受けてコロコロ発言を変えることで有名)と呼ばれ、米国債市場に影響力を持つセントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は、40年ぶりの高インフレ下で政策引き締めを継続する必要性を強調しながらも、来年には慎重な姿勢を強めることを示唆した。
また、影のFRB議長と呼ばれるブレイナードFRB副議長は、「高インフレ抑制に向けて積極的な利上げを続ける上で慎重な姿勢で臨むことが重要だ」と指摘した。
こうした当局者の発言に加えて、ウォールストリートジャーナルが10月21日に「米連邦準備理事会(FRB)が12月の会合でこれまでよりも小幅な利上げを巡り検討する公算が大きい」と報道したことから、市場はまたしてもパウエル・ピボット(パウエルの転換)に期待している。
ドルインデックスのチャートをみると、現状は売りシグナルが点灯しているものの調整相場である。ADXと標準偏差ボラティリティの動きを確認しながら、次のトレンドの発生を確認したい。
ドルインデックス(日足)
主要通貨の週足の売買シグナルはまだドル買いのままだが、この先、米国の「利上げ打ち止め」や「利下げ」という事態(金融緩和の再開)になれば、ドルが大きく売られるであろうことは想定しておきたい。
ドル/円(週足)
ユーロ/ドル(週足)
ポンド/ドル(週足)
豪ドル/ドル(週足)
米国の経済政策とドル相場