弱気相場が終わるまでにはまだ長い道のりがある
大きな下げ相場では大きなリバウンドもある! したがって、安易な売りポジションの構築には注意が必要である。だが、スーパーバブルの崩壊相場が終わるまでにはまだ長い道のりがある。
S&P500とパウエル・ピボット期待
弱気相場には三つの段階がある
政府と中央銀行がカネをバラまいていれば、株価は永遠に上がっていくのだろうか? それは30年間MMT(現代貨幣理論)政策を行ってきた日本の株価が証明している。 スーパーバブルの崩壊で政府が市場に大規模介入すると、長期にわたる日柄調整相場になるのである。
日経平均と一般政府負債
著名投資家のドラッケンミラーは、「インフレが猛威を振るい、中央銀行が利上げ、脱グローバリゼーションが定着し、ウクライナでの戦争が長引く中、世界的な景気後退の可能性は過去数十年で最も高いと考えている」という。
「米国株市場はここから10年間、1966年から1982年の期間のように横ばいになる可能性が高いと思われる。1982年に始まった金融資産の強気相場を振り返ってみると、そのブームを生み出した〈すべての要因〉は止まっただけでなく、逆転したのである」
(スタンレー・ドラッケンミラー)
NYダウ(月足)と1966年から1982年の横ばい相場
歴史をみればわかるが、バブル相場の終わりは必ず「インフレ」である。
ハイエクの『隷従への道―全体主義と自由』は、政府がインフレによって大衆を貧困化させた後に起こりうる政治的展開について記したものである。
有効な経済理論への細心の注意に加えて、ミーゼスの論文の権威は、オーストリアのハイパーインフレの経済と政治を直接目撃した戦後の経験から来ており、ドイツのそれに続いている。それ以来、私たちは教訓を忘れてしまった。
「今、私たちは景気後退期にあると思うが、これは私が予想していたことだった。経済が弱くなるにつれてインフレが強くなった。この不況はまだ始まったばかりだと思う。インフレに苦しむ家庭は政府に苦しめられている。インフレは税金のようなもので、政府の赤字財政を支えるものだ」
(ピーター・シフ)
「先進国におけるすべての2シグマ株式バブルは、成長トレンドに平均回帰した。1929年と2000年の米国および1989年の日本では3シグマ以上のスーパーバブルになった。2006年には米国で、1989年には日本でも住宅にスーパーバブルが発生した。これらの5つのスーパーバブルはすべて、平均よりもはるかに大きくて長い痛みを伴うトレンドまでずっと修正を続けた。今日、米国は過去100年間で4番目のスーパーバブルの中にいる」
(ジェレミー・グランサム)
実質S&P500と実質利益の累積変化量
このエブリシングバブルの崩壊は、最終的には「金融抑圧」(高インフレ+人為的低金利で、政府債務の棒引き・実質的な借金返済を図ること)では済まず、将来的に戦争(経済学的には国家最大の公共事業)になる可能性がある。
アメリカ帝国のビッグサイクル
ルービニは、「投資家は、インフレ、政治・地政学的リスク、環境破壊をヘッジする資産、すなわち短期国債やインフレ連動債、金などの貴金属、環境破壊に強い不動産などを見つける必要がある」と、述べている。