★筆者が選ぶ10万円株は2ページに掲載しています。

今の東京市場の中心銘柄をズバリ

 東京市場の中心銘柄はどの銘柄でしょうか? 多くの投資家は「時価総額上位銘柄」をイメージするのではないでしょうか。

【時価総額上位5銘柄】*10月17日時点

  1. トヨタ自動車(32兆6,299億円)
  2. NTT(14兆3,830億円)
  3. ソニーグループ(12兆1,643億円)
  4. キーエンス(11兆7,420億円)
  5. KDDI(9兆7,335億円)

 これらは間違いなく日本を代表する企業で、時価総額だけでなく株式市場における流動性にも富む銘柄です。ほかの見方として「日経平均株価構成比が高い銘柄こそが東京市場の中心銘柄」という見方もあるでしょう。

 ファーストリテイリング(9983・プライム)東京エレクトロン(8035・プライム)ソフトバンクグループ(9984・プライム)KDDI(9433・プライム)ファナック(6954・プライム)などがそれに該当します。

 さらに「日経平均構成比ではなく寄与度が重要」という見方もあると思います。寄与度はその銘柄の値動きがどの程度日経平均の上下に寄与したかということですので、構成比上位銘柄のボラティリティ(変動)が大きいときには、その値動きが日経平均に強く影響することになります。

 実際、構成比が高い銘柄が寄与度の上位にくることがほとんどで、筆頭は「ファーストリテイリング(9983)」です。

 ここで投資家が考えなければならないことは、日本経済の先行きは暗雲が立ち込めているので中心銘柄(主力株)はとても買えない(しかしNTTやファーストリテイリングは年初来かなりの上昇)。

 逆に、日本経済の先行きは明るいので主力株をどんどん買っていく(しかし東京エレクトロン、キーエンスは年初来相当な下落)、のように中心銘柄をひとかたまりにした評価ではなく(新興株にも同様のことがいえる)、「その時に投資家が手掛けている銘柄はどれか」を明確にし、その銘柄の動きを注視し、その時点から買っていけるかどうかを見通すことと感じます。

 個別銘柄の継続的な株価上昇には、投資家が売りより多くの買いを入れる必要があり、投資家がそのような行動を取るにはやはり「背景」が要ります。

「これからさらに良くなる」と思うからこそ、その銘柄を買う投資家が存在し増加するのです。その銘柄を手掛ける強い動機、背景がなければ、その時の株式市場における中心銘柄にはならないのでしょう。その意味では「中心銘柄は入れ替わる」という概念が必要でしょう。

欧米株が不安定だと内需株になる傾向

 足元、株価指数が欧米市場動向に左右される東京市場の中で目立った上昇を見せている銘柄、中でも多くの人に認識されている企業をここではズバリと指摘しておきます。株価の上昇、売買代金(流動性)を伴っている銘柄で、背景がハッキリとしているものです。現在の東京市場の中心銘柄と言っても差し支えないでしょう。

 株価データは2022年10月18日終値ベース。

三越伊勢丹ホールディングス(3099・プライム)

・1年日足チャート

 百貨店首位、旗艦の新宿伊勢丹、日本橋三越は全国屈指の売上高を誇ります。

ANAホールディングス(9202・プライム) 

・1年日足チャート

 国内航空最大手企業。傘下に格安航空会社(LCC)も擁しています。

JR東海(9022・プライム)

・1年日足チャート

 東海道新幹線と在来線12路線保有。新幹線が収益の多くを占めています。

 全て内需株です。これらの銘柄が上昇している背景は、まず新型コロナウイルス第7波の収束による経済活動再開期待。さらに政府による旅行支援策「全国旅行支援」の実施、さらにはいわゆる「水際対策」の緩和によって訪日外国人が増加し、インバウンド消費が回復すると思われていることです。

 全て投資家にとって「その銘柄を手掛ける強い動機、背景」といえるのではないでしょうか? 「国策」と説明されることも多いです。

 米CPI(消費者物価指数)が示すインフレを抑制するため、米金融当局が利上げを続け、当局者がインフレ抑制(継続的な利上げ)に積極的な発言を繰り返し、そのたびに米国株が下落しています。その後反発する局面はあるものの、また再び同じことが起こり下落…もう何度見た光景でしょうか?

 ウクライナ紛争においてロシアとウクライナの停戦協議は頓挫したままで、欧米各国はウクライナへの武器供与を続ける一方、ロシアは侵攻の手を緩めていません。

 ロシアはウクライナ東南部の支配地域に併合宣言を行い、ドイツをはじめとするロシアのエネルギー依存度が高い国に対し、天然ガスの供給を削減するなど揺さぶりをかけ、エネルギー価格高騰が市民生活を脅かしています。

 イギリスではリズ・トラス新政権の経済政策が迷走し、マーケットの信頼を失う事態となりました。為替市場で英ポンドが急落したことは記憶に新しい事です。20日には辞任を表明しました。

 5年に一度の共産党大会が開催されている中国では国家統計局が18日に発表を予定していた第3四半期のGDP(国内総生産)など経済指標の発表を延期するとしました(理由は明らかにされていない)。ロックダウン(都市封鎖)によって当初より相当低い数字となり、内部調整や混乱が生じているのではないかと思われます。

 半面、政権支持率は低迷、円安が進行する中でもコロナ禍からの立ち上がりが評価されているのが東京市場ではないでしょうか? 全ての銘柄が一様に物色されることはなく、一部のセクターや銘柄がけん引役となるのは、今回だけでなく過去も同様です。

 投資家、投資資金はできるだけ結果が出やすいところに流れていきます。中心となる銘柄をはっきりと認識し、それに連なる銘柄の動きに目を光らせるのが得策で、実際、年初来高値を更新している銘柄は「内需株」がほとんどであり「消費」、「外食」、「エンタメ」、「サービス」、「旅客」が目立ちます。

 欧米株の動きが不安定であればあるほどその傾向が続く可能性も捨てきれません。ここではそうした動きを想定し、10万円で投資可能な内需株を掘り下げて取り上げてみます。