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投資信託の入門(上)
山崎 元
ホンネの投資教室
楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元の提供レポートです。経済やマーケット、株式投資、資産運用のノウハウと考え方など幅広い情報提供をおこなってまいります。資産運用の参考にお役立てく…

投資信託の入門(上)

2009/8/7
楽天証券経済研究所客員研究員として活躍する経済評論家・山崎元による「ホンネの投資教室」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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初心者は特別ではないが

本稿では、投資信託を全く買ったことがない人、あるいは投資信託を買ったことはあるが、これでいいのかどうもしっくり来ないという人のために、投資信託の初心者向けのアドバイスをまとめてみたい。

実は、筆者は、資産運用には「初心者向け」の特別なやり方があるわけではない、という持論を持っている。これは、初心者であってもベテランであっても同じ運用をすれば同じリスクとリターンとコストを負担することになるので、初心者も無駄なコストを払うなど、非合理的な運用をしない方がいいという意味だ。また、「初心者だから」という甘えを自分に許して、他人に(特に金融機関に)アドバイスを求めると、検討が甘くなったり、騙されたりしやすくなるから、という意味もある。

しかし、投信の見方・扱い方が分からないという人のために、一通りのガイダンスを与えることには意味があるだろうと思う。

投資信託のメリット

投資信託という金融商品の最大のメリットは「小口の資金でも、分散投資されたポートフォリオに投資できる」ということであり、基本的にはこれだけだ。付随的に、信託勘定で分別管理されているので販売窓口金融機関が倒産しても運用資産が保護されていることや(これは銀行預金と比較した場合大きなメリットだ)、毎日基準価額が計算・発表される透明性のようなメリットもあるが、個人の資産運用を考えるときのメリットはほぼここに尽きるといっていいだろう。

この他のメリットとして、「専門家が運用してくれること」を挙げる向きもあるが、資産配分(たとえば株式の組み入れ率を上げ下げする)の意思決定や、アクティブ運用(市場平均を上回る運用)にあって、専門家がプラスの成果を上げてくれることを期待していいのか否かをリアルに考えると、どちらも「難しい」と言わざるを得ない。「専門家が上手く稼いでくれるかも知れない」、「いい運用のファンドを選ぶことができるかも知れない」という期待は一切抱かない方がいい、と申し上げておく。

この点を曖昧にして、運用者が資産配分を調整するバランス・ファンドを勧めたり、アクティブ運用のファンドを勧めたりする自称専門家は信用しない方がいい。

最初の一本の選び方

筆者としては、本当のところを言うと、初心者にも最初から2本以上のファンドを持って欲しいのだが、まず、1本何かを買ってみるというのが現実的なところかも知れない。

MRF(マネー・リザーブ・ファンド)も投資信託の一種であり、銀行破綻のリスクを考えると安全資産の置き場所として有力な選択肢なのだが、これは現金に準ずるものの保管場所として除外して考えると、1本目の投資信託として有力なのは、国内株か外国株に投資するファンドだろう。

内外の株式・債券など複数の資産クラスに投資する「バランス・ファンド」という選択肢もあるが、筆者は初心者にはお勧めしない。

(1)バランス・ファンドに投資すると中身を意識しなくなってしまうことが多い、(2)運用側で資産配分を変える場合には特に中身が把握しにくい(その上、前述のように資産配分による利回り上のメリットは期待できない)、(3)個別にファンドを組み合わせる方が手数料は割安になることが多い、というのが理由だ。

最初の1本としていいのは、国内株式か外国株式に原則として100%近く投資する商品だろう。あえてどちらと言われたら、国内株は個別株への投資が容易でもあるので、筆者は「外国株に幅広く投資できるファンド」がいいと思うが、馴染みやすいことでもあり、国内株式に投資するファンドでもいいだろう。

カテゴリーが決まったら、投資する商品を決めなければならないが、この際に留意すべきは、(1)手数料、(2)利便性、(3)ファンドの安定性・流動性、だ。

手数料については、購入時の手数料と信託報酬主なものだ。購入時の手数料に関しては0%から3%程度まで様々だが、ノーロード(0%)で買えるファンドと販売窓口の組み合わせが増えているので、できるだけそうしたものの中から選びたい。全く同じ商品でも、購入窓口によって手数料が異なる場合があるから注意したい。

初心者は信託報酬をあまり気にしないかも知れないが、ファンドの保有期間中ずっと継続的にかかるので影響が大きく、最大とも言っていいファンド選択要因だ。「同じカテゴリーなら、信託報酬率が低い方がいい」というのがファンド選択の大原則なので、必ずチェックして、できれば複数の選択肢を比較しよう。

利便性というのは、たとえば、ETF(上場型投資信託)を買うのと、通常の投資信託を買うのとでは、投資金額の最小単位が異なる場合があり、積立投資をしたいとか、細かな単位で解約してお金を引き出したいといった場合には、信託報酬は多少高くても、通常の投資信託を選択した方が合理的な場合があるので、この点の考慮だ。少なくとも、ファンドを買う前に、解約するときの条件やコストについてよく確認しておこう。

また、ファンドの運用金額が小さい場合や、売買の少ないETFなどは、ファンドが償還されてしまうことがあるので、運用資産の規模とその推移、ETFの場合は市場での売買の状態について検討しておこう。ファンドが償還される場合でも、財産はきちんと返還されるので、あまり神経質になる必要はないが、将来も継続するものであるかどうかについては一応検討しておく方がいい。

インデックス・ファンドかアクティブ・ファンドか

先の投資信託に関する判断の原則を正直に当てはめると、選択肢はインデックス・ファンド以外にない。現状では、インデックス・ファンドの方が、大幅に信託報酬が安い。また、アクティブ・ファンドの平均的な成績はインデックス・ファンドを下回ることが多いし、「いいアクティブ・ファンド」を事前に見つける方法がないのだから仕方がない。厳密に損得を考えると、こう考えるしかない。

投資すべきインデックスは、日本株の場合TOPIX(東証株価指数)の方が第一の選択肢で、外国株の場合はMSCI-KOKUSAIが同様にいいと思う。別のインデックスであってもいいし、リスクは投資金額で調整できるのだから、新興国の株価に連動する投信を買うのも悪くはないが、無難なのはこれらの二つだ。

もっとも、アクティブ・ファンドの手数料について、投資する本人が納得していて、それに見合う楽しみがあるのなら、アクティブ・ファンドに投資する選択肢もある。

たとえば、競馬の世界には一頭のサラブレッドを複数(多いときは数百人)で所有して応援する「一口馬主」のような仕組みがあり、愛好者がいる(筆者も好きだ)。同様の感覚で、運用会社や運用者を応援することに納得できるコストを掛けるのは、一つの楽しみ方として存在してもいいだろう。しかし、あくまでも「楽しみ」であり、そのための「コスト」だということを強調しておく。

組み合わせて2、3本持とう

1本目のファンドを買うところまで進んだら、是非、そこで停滞せずに、2本目のファンドを一緒に持つことを検討して欲しい。

一番簡単な組み合わせは、日本株と外国株を「4:6」ないしは半々だが、二つ以上の資産を組み合わせることで、投資金額当たりのリスクを低下させることができるので、ぜひ検討してみて欲しい。

次回は、「投資信託の入門(下)」として、複数のファンドを組み合わせることの効果について分かりやすく説明してみたいと思う。

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