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2009年と日本のバブル崩壊後の比較
山崎 元
ホンネの投資教室
楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元の提供レポートです。経済やマーケット、株式投資、資産運用のノウハウと考え方など幅広い情報提供をおこなってまいります。資産運用の参考にお役立てく…

2009年と日本のバブル崩壊後の比較

2009/1/23
楽天証券経済研究所客員研究員として活躍する経済評論家・山崎元による「ホンネの投資教室」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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筆者は「歴史は繰り返す」とか「経済それ自体が循環する」とは思っていないが、経済やマーケットには時点が変わっても共通の原理が働くことが多いと思うので、過去の経済とマーケットを参照して、現在及び将来の市場について考えることはある。

最近よく考えているのは、「金融危機」といわれる現在のマーケットの状況と、日本のバブル崩壊後の経済とマーケットの推移だ。

詳しくは1月31日の楽天証券新春講演会でお話ししたいと思っているが、大まかにいうと、アメリカを中心とする世界経済のサブプライム問題発生(2007年夏)以降の推移は、1990年代の日本経済をVTRの早廻しで見ているようだ、と思っている。

(1)2009年はかつての日本の1998年、1999年に対応する?

昨年(2008年)の第一四半期は、株価が急落し始めた1990年から株価的にはバブルの一番底(日経平均で14,194.40円)をつけた1992年に相当する。その後、日本経済は1993年にはバブル後はじめてマイナス成長入りするが、一時的に立ち直り1995年、1996年には2%台後半の成長率を達成する小康状態に入る。これに対応するのは昨年の5月くらいから夏にかけて、資源価格の高騰が問題になった時だろう。ところが、消費税率引き上げ決定などをきっかけに、もともと不良債権処理が不十分であったことから1997年3月に景気は「山」を付けて下降線に入り、1997年には三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券などが破綻する(かつての消費税率引き上げに近い印象のイベントは、ECBの最後の利上げだ)。

山一が破綻したのは1997年の11月だったが、これに対応するのが昨年9月15日のリーマン・ブラザーズの破産だ。大手金融機関の破産以降、金融取引が凍り付き、消費・投資共にマインドが急速に後退して不況に入る展開は、90年代の日本と現在の世界経済(主にアメリカ)では、よく似ている。

1998年には大手銀行に第一回目の公的資金投入が行われる。これは、急ごしらえの委員会を作って「大手行はいずれも健全である。従って、公的資金を投入しても、これが毀損する心配はない」しかし「大手銀行の経営の健全性を強化するために公的資金を投入しよう」という論理の、訳の分からないものだったが、公的資金投入からさして間を置かずに日本長期信用銀行が破綻し、巨額の資金を使って一時国有化されることになった。

昨年、アメリカでも大手銀行に公的資金の投入が行われたが、その後、巨額の資金を使って、シティグループやバンク・オブ・アメリカを救済する事態に立ち至った。

銀行の損失がいくらあるのか分からない状況で公的資金を入れても、それで足りるのかどうかが外から見ても分からないから信用されないというのが共通の教訓だが、つまらないところまでよく似ている。

2009年の米欧及び日本の経済は、あの頃の日本の1998年、1999年の状況に近いのではないかと思っている。

年度ベースで経済成長率の推移を見ると、バブル崩壊後の日本で一番ひどい年が1998年で、実質成長率はマイナス1.5%だった。日米ともに、2009年はこれに近い状態になる可能性が大きいと、筆者は考えている。先行性の高い指標の悪化はまだ収まっていないから(悪化の「加速度」がまだ小さくなっていない)、実態経済は、米・欧・日ともにこれよりも悪くなる可能性がある。

ところが、1998年度は株価を見ると、日経平均で4%強しか下がっていない。また、1999年度は、経済成長こそ0.7%と冴えないものの、株価は約28%上昇する。経済の最悪(に見える)状態は、株式投資にとっては格好の買い場なのだ。

特に不動産(優良物件)について、不動産関係者に聞くと、不良債権と共に買うようなビジネスにとっては、1999年こそ最高の買い場だったという。不況の時は、資産価格が下がるし、投げ売り(金融機関、不動産業者いずれからも)が出るから、これまた、資産の格好の買い場になる。もちろん、金融が緩和されて、資金コストが下がることの影響も大きい。

(図)90年代後半の日本経済とマーケット

(2)相違点は何か?

この後の推移も含めて、現在のアメリカを中心とする世界経済の推移と、かつての日本経済との相違点も、もちろんいくつかあると思う。

重要なのはスピードの違いだが、一つには、特にアメリカにあって、金融機関に損失が集中しやすく、損失が表れるのが早い(かつての日本よりもという意味で)ことにあるのではないかと思う。たとえば、アメリカの住宅ローンは、担保物件を金融機関に渡してしまえば借り手の義務は終わりなので、金融機関に損が表れやすいが、借り手へのダメージは日本の住宅ローンよりも後に残りにくい。また、今後を考えるうえでも、金融機関の損失を処理して、資本を手当てすれば、経済が常態に復するのは早いはずだ。

また、今後を考えるうえで、ネットバブルとその崩壊のような次のバブルとその崩壊が直ぐになさそうな点がかつてと今とでは異なるし、経済政策も異なるはずだ。

いずれにせよ、単純に歴史が繰り返すと思っているわけではないのだが、2009年は、経済状況は厳しいが、投資にあってはチャンスではないだろうか、という仮説を立てつつ、筆者は、経済ニュースとマーケットを見ている。

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

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