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3人で秘密を守ることは可能だ。もし、そのうち2人が死んでいれば

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 ECB(欧州中央銀行)は、今夜の9月理事会で政策金利の利上げを発表する。0.50%の利上げが中心シナリオだが、インフレ期待の急激な上昇をECBが警戒しているため、0.75%利上げの見方も強まっている。一方で、エネルギー危機の深刻度が増すなかで、ECBがそれほどタカ派になれないという意見もある。

 ECBは前回7月の理事会において2011年以来11年ぶりの利上げを決定した。ECBは、政策金利(主要金利)0.00%、貸付金利(上限金利)0.25%、そしてデポ金利(下限金利)を-0.5%に設定していた。それを0.5%引き上げることにより、マイナス金利を一気に終了させた 。

 ECBのフォワードガイダンス(金融政策の指針)では0.25%の利上げを示唆していたが、それを逸脱する大幅利上げを断行したことで、中央銀行の信用が薄れ、マーケットのボラティリティを高めたという副作用も発生させている。ただ、ラガルドECB総裁は、輸入インフレを悪化させるユーロ安を止めることも大幅利上げの理由と語った。インフレを歓迎している先進国の中央銀行は日銀くらいだ。

 ECBは今回9月の会合で0.75%、さらに10月にも0.75%利上げして、デポ金利を1.5%まで引き上げたところで利上げを中止、あとはエネルギー問題の状況を見て判断ということになりそうだ。しかし、今のところ、エネルギー供給問題に好転の兆しはない。

 ECBの考えていた着地レートは1.75%だった。志半ばでの利上げサイクル中断は、FRBとの利上げ格差が鮮明になり、ユーロにとってはマイナス材料になるだろう。

 欧州エネルギー危機でECBがあえて利上げを急ぐ背景は、過去最悪の高インフレだ。ウクライナ戦争の長期化で、欧州のエネルギー危機は深刻化している。ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプラインであるノルドストリームは、一部が無期限停止になった(プーチン大統領は再開の可能性を匂わせている)。あと数カ月で冬がやってくるドイツのガス料金は最低3倍に跳ね上がり、さらに「配給制」になればドイツ産業は壊滅的なダメージを受ける。インフレと不況が同時に欧州経済を襲うことになる。

 一方で、急速な利上げは、経済的に脆弱な周辺国(イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ)をさらに追いつめる。ECBはユーロ圏内の国債利回りの格差拡大を防ぐため、債券市場介入手段としての「分断化防止策(TPI)」の導入を今回の会合で決定した。しかその基準は曖昧なままだ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成