楽天インサイト株式会社では、「値上げに関する調査」をインターネットで実施。2022年以降のモノ・サービス全般の値上げに対する温度感が浮き彫りになった。

 2020年になり値上がりしたと認知されているモノ・サービスのトップは「食料品」ついで「ガソリン・燃油」「水道光熱」...と続く。いずれも家計を直撃し、我慢や節約では解消できない生活必需品ばかりだ。みんなが「値上がりしている」と認知しているモノ・サービスを見ていこう。

値上げに関する調査

▼調査概要
調査エリア:全国
調査対象者:20~69歳 男女
回収サンプルサイズ:1,000サンプルサイズ
調査期間:2022年7月12日(火)から7月13日(水)
調査実施機関:楽天インサイト株式会社
(注)本レポートでは小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100%とならない場合があります。

データ詳細はこちらから>>

1カ月の支出増加は平均1万4,673円!

モノ・サービスの値上げによる、平均的な1カ月の家計支出の増加額(n=881:値上げによる家計への影響認識者)単一回答 単位:%]

楽天インサイトの調査よりトウシル編集チーム作成。1カ月の平均増額は「わからない」を除いて算出。データ詳細はこちらを参照

 モノ・サービスの値上げによる家計への影響を認識している人に対し、1カ月あたりの家計の支出がいくら増額しているかを聞いたところ、平均で1万4,673円の増額という結果に! 「親と子と孫の3世代以上の世帯」では2万563円の増加、「夫婦/パートナー2人だけの世帯」でも1万4,618円、「単身(1人住まい)世帯」ですら、1万3,562円の出費増となっている。

全般的な値上げの原因は?

 まだまだ収まりそうにない日本のインフレ。価格は据え置きだが、内容量が減ってしまう「ステルス値上げ」も登場するなど、油断は禁物だ。2022年の値上げの原因は

[1]ウクライナショックによる資源価格の高騰

[2]長期に及ぶコロナ禍によるモノの供給不足

[3]円安による輸入価格の急激な高騰

 の三つと想定される。生半可なことでは値上げをせず、長年、同じ価格で踏ん張ってきた企業が白旗を上げたケースもある。そして、一度値上がりしたものはそう簡単には値下がりしないため、今回の値上げラッシュで庶民が受けたのは、後々まで響く大きな痛手といえる。

これが痛い!値上がりしたと思うモノ・サービス

[2022年になって以前より値上がりしているモノ・サービスの認知状況(n=1,000:全員回答)複数回答 単位:%]

上位10位まで。年代別の詳細はこちらを参照

「値上がりした」と全世代的に認知されているのは「食料品」で79.8%にもなった。その中でも、家計を預かる率が高い女性のうち、60代の92.1%、50代の90.1%が、「食料品が高い!」と実感しているという結果になった。

食料品、何が一番家計を直撃?

[食料品・飲料品の中で、値上がりを実感している品目(n=1,000:全員回答)複数回答 単位:%]

上位10位まで。年代別の詳細はこちらを参照

 

 食料品の中でも、特に値上がりを実感している品目について聞いたところ、「生鮮食品(野菜・果物、鮮魚、精肉)」が最も高く44.9%となり、次いで「調味料・油」(41.0%)、「パン類」(38.7%)、「小麦粉・ミックス粉類・製菓材料類」(36.9%)となった。

パンが高いなら、お菓子を減らせばいいじゃない

[食料品・飲料品の値上げに伴い、購入頻度を減らす品目(n=928:日常的に食料品・飲料品購入者)複数回答 単位:%]

上位5位まで。詳細はこちらを参照

 そんな中、庶民も、ただやられっぱなしではないところを見せている。緊急性のないお菓子などは購入頻度を落として家計を温存。どうしても必要な食料品類などは少しでも安いものを見つけて購入。インスタントラーメンの購入頻度を控えている傾向を見ると、安易なレトルト利用や外食を控えて、自炊率を上げることで財布を守ろうとしていることが分かる。

生鮮食品が高いなら、安い品を探せばいいじゃない

[食料品・飲料品の値上げに伴い、購入価格帯を下げる品目(n=928:日常的に食料品・飲料品購入者)複数回答 単位:%]

上位5位まで。詳細はこちらを参照

 一方、購入頻度を下げるよりも購入価格帯を下げる傾向がある品目は、もっともよく購入し、しかも代替商品があまりない「生鮮食品」がトップ。毎日の食生活の中で消費量が多いと考えられる品目が上位となった。

値上げに対する対抗手段はクーポンやポイ活!

[食料品・飲料品の値上がりによる家計への影響を乗り切るため工夫していること(n=766:「食料品」「飲料品(酒類を除く)」「酒類(ノンアルコール含む)」の値上げのいずれかが、家計に影響があると回答)複数回答 単位:%]

上位4位までを抜粋。インサイトデータをもとにトウシル編集チーム作成
上位10位まで。年代別の詳細はこちらを参照

 食料品・飲料品の値上がりによる家計への影響を乗り切るために工夫していることについて聞いたところ、「クーポンを使ったり、割引がある時に買い物をしたりする」が最も高く53.0%で、「安い時に多めに購入して保存しておく」(49.5%)が続いた。

 特に女性60代では、これらの2項目について、「クーポンを使ったり、割引がある時に買い物をしたりする」(67.0)、「安い時に多めに購入して保存しておく」(62.5%)と、いずれも全体より10ポイント以上高い結果となった。激安店で買いだめし、両手にマイバッグを抱えて、家計守備力を高める女性像が想像できる。

 一方、男性30代と女性20代・30代は、「ポイント付与が多い支払い手段(クレジットカード、QRコード、電子マネー等)を選ぶ」(男性30代:57.6%、女性20代:55.0%、女性30代:56.3%)、男女ともに20代・30代で「日頃からサイトやアプリでポイントを貯める(ポイ活)」(20代男性:48.1%、30代男性:48.5%、20代女性:61.7%、30代女性:54.9%)が全体より高い傾向。スマホをフル活用し、クーポンやポイ活など、現代ならではの工夫でスマートに立ち向かっており、世代間の乗り切り方の違いが浮き彫りになった。

 買いだめや激安店探しなど、昔ながらの知恵や工夫に加え、SNSやアプリなど、現代ならではのテクニックを駆使してインフレに立ち向かおうしている令和の庶民は、したたかでパワフル。苦しい時代をフットワークよく、楽しみながら乗り切っていこうという前向きさが感じられる。

 このコロナインフレ時代に編み出した生活の知恵は、今後、さらに時代や経済状況が変化しても役立つ底力になるだろう。