2024年1-3月の業務統計に明るい兆し、北京ハーフマラソンの不祥事は影響軽微か

現地コード 銘柄名
01368

特歩国際

(エックステップ・インターナショナル)

株価 情報種類

4.37HKD
(4/18現在)

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 中国のスポーツ用品メーカー、特歩国際が発表した業務指標によると、旗艦ブランドの小売販売額は2024年1-3月期に1桁台後半の伸びを示し、特に3月後半以降、売れ行きが上向きに転じた。BOCIは予想通りの数字としながらも、同社の業務には明るい兆しが見られると指摘。ランニングシューズ・ラインの魅力を武器に、この先、回復力を発揮するとみて、現時点では2024年通期決算が経営陣のガイダンスを下回る可能性は低いとした。一方、4月14日に行われた北京ハーフマラソンでは八百長疑惑が浮上。優勝した中国人選手を含む上位4選手が記録取り消しの上、メダルはく奪となり、不適切行為に問われたこの大会のスポンサー、特歩国際は謝罪に追い込まれたが、BOCIは同社の売り上げに及ぼす影響は限定的との見方。逆に、この件を受けた過剰な調整局面が買いチャンスにつながる可能性を指摘している。

 旗艦ブランド「特歩」の小売販売額は、1-3月期に前年同期比で1桁台後半の伸び。一方、米国発「Saucony(サッカニー)」や仏「Palladium(パラディウム)」といった新ブランドは、中国本土市場での小売販売額が前年同期比50%を超えて急増した。「特歩」ブランドに関しては業務指標に改善傾向が見られ、小売価格の値引き率は25-30%へ、前期比で小幅に縮小したという。販路別では、ベース効果により、オンライン販売が25%強の伸びを示すなど好調。ほぼ予想通りとはいえ、同業他社を小幅に上回った。

 小売販売額は3月後半に上向きに転じた後、4月上旬にはさらに加速し、前年同期比約10%の伸びを達成している。経営陣によると、カーボンプレートを搭載したランニングシューズ「360X」シリーズの出足好調によるもの。前年同月実績が低い5月には、増収率が20%を超える可能性があるという。同社が3月に発表した2024年通期の売上高に関するガイダンスは前年比10%超の増加。経営陣は達成に自信を示している。

 特歩国際は八百長疑惑のあった北京ハーフマラソンに関して、正式に謝罪。中国人選手に勝ちを譲ったアフリカ人3選手を「ペースメーカーとして招待した」が、スタッフによる登録手続きミスで、招待選手としてレースに参加させたと説明した。組織委からは今シーズンのスポンサー資格の停止などの処分を受けたが、BOCIはこの件が同社製品の売れ行きに影響することは考えにくいとの見解。その理由として、◇一般にはあまり知られていないが、プロのランナーがペースメーカーを雇うのは普通のこと、◇同社の主要顧客は中小都市部のコスパ重視のカジュアルランナー――の2点を挙げた。

 BOCIは2024年予想PER(株価収益率)12倍をベースとする目標株価を据え置き、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、マルチブランド戦略の不成功、旗艦ブランドのセルスルー率(在庫に対する販売率)の悪化、予想外の支出増、買収に伴う無形資産評価損などの可能性を挙げている。